バルーミニのヌラーゲ「ス・ヌラクシ」の概要と価値
「ス・ヌラクシ」は、イタリアのサルデーニャ島バルーミニにある、先史時代(青銅器時代)のヌラーゲ文化を代表する遺跡です。ヌラーゲとは、巨大な石を積み上げて作られたサルデーニャ島固有の塔状の建造物のことで、「ス・ヌラクシ」はその中でも最大かつ最も保存状態の良い複合遺跡です。紀元前1700年頃から建設が始まり、その後何世紀にもわたって増改築が繰り返されました。そのユニークな建築技術と社会構造を示す点が高く評価され、1997年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。
世界遺産登録基準
- (i) 先史時代の地中海世界において、独創的で革新的な建築技術を用いた人類の創造的才能を示す傑作です。
- (iii) 謎の多いヌラーゲ文化の社会、経済、文化を今に伝える他に類を見ない物的な証拠です。
- (iv) 先史時代の人類が、限られた道具で周囲の自然環境に適応し、独創的な建造物を築き上げた顕著な例です。
遺跡の構造
ス・ヌラクシは、中央にそびえる巨大な塔(マスティオ)と、それを取り囲む4つの小塔、さらにその周りを囲む集落の遺跡から構成されています。石を巧みに積み上げた構造は、当時の人々が持っていた高度な建築技術を示しています。防御施設、住居、祭祀の場など、複合的な機能を持っていたと考えられています。
| 建築物 | 特徴 |
|---|---|
| 中央塔(マスティオ) | 高さ約18.6メートルに達する主塔。内部は複数階層に分かれている。 |
| 四葉の砦 | 中央塔を囲む4つの小塔とそれらを結ぶ城壁。 |
| 集落跡 | 砦の周囲に広がる円形の石造りの住居跡群。 |
観光と保全
ス・ヌラクシは、サルデーニャ島の歴史と文化を象徴する重要な観光地です。訪問者はガイド付きツアーに参加し、迷路のような遺跡の内部を探検することができます。巨石建造物の安定性を確保し、風雨による浸食から保護するため、専門家による継続的な監視と修復作業が行われており、このユニークな先史時代の遺産を未来に伝えるための努力が続けられています。