シンガポール植物園の概要
シンガポール植物園は、1859年に設立された熱帯植物園です。都市の中心部にありながら、82ヘクタールの広大な敷地に豊かな緑が広がっています。単なる市民の憩いの場ではなく、熱帯植物の研究、収集、保全において世界的に重要な役割を果たしてきました。特に、東南アジアのゴム産業の発展に大きく貢献した歴史を持ちます。熱帯にある植物園としては初めて、2015年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。
歴史と発展
シンガポール植物園は、観賞用植物の栽培だけでなく、地域の経済に貢献する有用植物の研究拠点として設立されました。19世紀後半、園長のヘンリー・リドリーはブラジル原産のパラゴムノキの栽培と効率的な樹液採取法(リドリー式)を開発。これがマレー半島全域に広まり、東南アジアが世界のゴムの一大生産地となる礎を築きました。
主な施設
園内はテーマごとに様々なエリアに分かれています。
- ナショナル・オーキッド・ガーデン: 世界最大級のラン園。1,000を超える原種と2,000以上の交配種が栽培・展示されています。
- 熱帯雨林: シンガポールが都市化される以前の原生林の一部が6ヘクタールにわたって保存されており、近代的な都市の中に残る貴重な自然空間です。
- ジェイコブ・バラス・チルドレンズ・ガーデン: アジア初の子供向け植物園。遊びながら自然について学べるように設計されています。
- ジンジャー・ガーデン: ショウガ科の植物を専門に集めた庭園。美しい花々や滝があります。
世界遺産登録基準
- (ii) 19世紀後半から20世紀にかけて、熱帯植物の科学的研究、特にゴム栽培の発展において、世界的に重要な役割を果たした。
- (iv) 熱帯におけるコロニアル様式の植物園の傑出した例であり、その施設、植栽、デザインが一体となって独特の景観を形成している。
施設 | 特徴 |
---|---|
ナショナル・オーキッド・ガーデン | 世界最大級のランのコレクションを誇る。 |
熱帯雨林 | 都市の中に残された貴重な原生林。 |
ジェイコブ・バラス・チルドレンズ・ガーデン | 遊びながら自然を学べる子供専用の植物園。 |
ジンジャー・ガーデン | 250種以上のショウガ科植物が集められている。 |