四川ジャイアントパンダ保護区群
四川ジャイアントパンダ保護区群は、中国四川省に広がる7つの自然保護区と9つの風景名勝区から構成される地域で、2006年にユネスコの世界自然遺産に登録されました。全世界の野生ジャイアントパンダの30%以上が生息する最も重要な繁殖地であり、種の存続に不可欠な役割を果たしています。
生物多様性の宝庫
この遺産の最大の価値は、ジャイアントパンダを筆頭とする豊かな生物多様性です。この地域は第三紀の熱帯雨林の植物相の面影を残しており、「植物の生きた化石」とも呼ばれる多種多様な植物が生育しています。こうした豊かな植生が、ジャイアントパンダの主食である笹をはじめ、多くの動物の生命を支えています。ジャイアントパンダのほかにも、レッサーパンダやユキヒョウ、ウンピョウといった絶滅危惧種を含む哺乳類の約20%がこの地域に生息しており、生物多様性のホットスポットとなっています。
登録基準
この遺産は以下の基準を満たしたと評価され、世界遺産に登録されました。
- (x) 生物多様性の本来的保全にとって最も重要な自然の生息地を包含するもののうち、科学上または保全上の観点から、すぐれて普遍的価値を持つ絶滅の恐れのある種の生息地などが含まれるもの。
主要な構成資産
| 資産名 | 特徴 |
|---|---|
| 臥龍(ウォロン)自然保護区 | 世界最大規模のパンダ保護研究センターがあり、保護活動の中心地。 |
| 四姑娘山(スークーニャンシャン) | 「東方のアルプス」とも呼ばれる美しい山岳景観を持つ。 |
| 夾金山脈(きょうきんさんみゃく) | パンダの生息地を結ぶ重要な回廊(コリドー)の役割を果たしている。 |