チンチョーロ文化の集落と人工ミイラ製法とは
チリ北部のアリカ・イ・パリナコータ州に残る、古代チンチョーロ文化の遺跡群です。この文化は、紀元前5450年頃から、死者を人工的にミイラ化する高度な技術を発展させました。これはエジプトよりも古く、世界最古の人工ミイラとして知られています。2021年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。
遺産の価値と登録基準
チンチョーロ文化の価値は、死者を社会の一員として捉え、精巧なミイラ作製を通じて死生観を表現した点にあります。彼らは狩猟採集民でありながら、複雑な葬送儀礼を発展させました。砂漠という乾燥した環境に適応した集落跡と、そこで行われたミイラ製法は、人類の文化的多様性を示す貴重な証拠です。
- 登録基準(iii): 現存するか消滅しているかにかかわらず、ある文化的伝統や文明の存在を伝える、唯一の、あるいは少なくとも稀な証拠となるものである。
- 登録基準(v): 特に回復困難な変化の影響下で脆くなっている、ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落や土地利用、海洋利用の顕著な見本である。
文化の主な特徴
遺産は、ミイラが発見された墓地や、加工に使われた工房跡など、複数の遺跡から構成されています。ミイラは、内臓を取り除き、体内に植物繊維や土を詰めて補強し、黒や赤のマンガンや酸化鉄で彩色されるなど、非常に複雑な工程で作られました。
| 要素 | 特徴 |
|---|---|
| 主な遺跡 | ファルデオ・デル・モーロ、コロン10など、ミイラが発見された沿岸部の墓地 |
| ミイラ製法の特徴 | 世界最古の人工ミイラ。皮膚を剥ぎ、体を再構成する高度な技術を持つ |
参考文献
UNESCO World Heritage Centre. “Settlement and Artificial Mummification of the Chinchorro Culture in the Arica and Parinacota Region”. https://whc.unesco.org/ja/list/1634