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タンザニア自然遺産1982年登録

セルー動物保護区

タンザニアのセルー動物保護区は、河川、湿地、森林・サバンナに大型哺乳類と生態過程を守ります。密猟、水力発電・鉱業、地域住民の土地権、狩猟区、危機遺産と野生動物観光を解説します。

セルー動物保護区(タンザニア)のイメージイラスト

ESSENTIAL FACTS

基本情報と登録基準

登録年
1982年
登録基準
(9)・(10)
種類
自然遺産
国・地域
タンザニア

WHY IT MATTERS

この世界遺産について

セルー動物保護区とは

セルー動物保護区は、タンザニア南部に広がる自然遺産です。1982年に登録基準(ix)(x)で世界遺産となり、2012年に軽微な境界変更が登録されています。UNESCOの登録欄に示される面積は5,120,000ヘクタール、緩衝地帯は21,492ヘクタールです。ミオンボ林、草原、河畔林、湿地が連続する広い環境と、大型動物を含む生物多様性が評価されています。

世界遺産の範囲とニエレレ国立公園

「セルー」という名前を読むときは、世界遺産と国内の保護地域の区分を分ける必要があります。UNESCOの2021年保全報告は、タンザニア政府が2019年に、この世界遺産をニエレレ国立公園とセルー動物保護区という二つの保護地域へ分ける決定を伝えたと記録しています。国立公園局も、ニエレレ国立公園が旧セルー動物保護区の北部から成立したと説明しています。

一方、世界遺産リスト上の名称は現在も「Selous Game Reserve」です。国立公園の創設によって世界遺産全体がニエレレへ改称されたわけではなく、国内の区分と世界遺産の登録範囲を同一視することはできません。

水と火がつくる景観と登録基準

基準(ix)は、多様な生息環境と捕食者・被食者の関係を含む生態過程を評価します。主要な植生は落葉性のミオンボ林で、火とも関わりながら維持されてきました。大雨による侵食でできる砂の河道は、普段は乾いていても雨季には激流になります。この「サンド・リバー」と、ルフィジ川の増水で季節的に冠水する地域が、変化に富む景観をつくります。

基準(x)は、この多様な環境が生物多様性を現地で保全する重要な生息地であることを評価します。ゾウ、クロサイ、リカオン、カバ、ワニなどがその価値を代表します。モザンビークのニアサ保護地域との生態学的なつながりも重要で、保全の対象は一つの行政区画だけでは完結しません。

密猟による危機と国際的な責任

2014年の危機遺産入りは、密猟による野生動物の激減が理由でした。当時のUNESCOの発表は、とくにゾウとサイの減少を指摘し、タンザニアだけでなく象牙の経由国や消費国にも対策への協力を求めています。密猟を保護区周辺の住民だけの問題とみなすことはできません。

登録時からの価値を説明する資料に残る大きな個体数を、そのまま現在の数と読むことにも注意が必要です。2026年の世界遺産委員会は、ゾウ、クロサイ、リカオン、カバなどの個体群の状態を、緊急に必要な現地調査で評価すべき項目に挙げています。

周辺の暮らしと野生動物を結ぶ取り組み

周辺地域では、大型肉食獣との衝突を減らし、野生動物の存在が住民にも利益をもたらす取り組みが進められています。現地で活動するLion Landscapesは、2025年の実績報告で、セルー・ニエレレ地域の11村で事業を行い、「Community Camera Trapping Plus」を4村へ拡大したと報告しています。この地域別の実績は、世界遺産の区域内だけを集計したものではありません。

同団体の説明によると、この仕組みでは住民が自分たちの土地で自動撮影カメラを使って野生動物を記録し、撮影された動物に応じた点数を医療や教育などの地域利益へつなげます。さらに家畜囲いの補強などの保全行動を評価し、利益の内容や配分方法を村と共同で取り決めます。野生動物と共に暮らす負担に、具体的な利益と合意形成で向き合う試みです。

水力発電・鉱業と2026年の保全判断

2026年の世界遺産委員会決議48 COM 7A.54は、全面稼働しているジュリウス・ニエレレ水力発電事業、キドゥンダ・ダム、ムクジュ・ウラン事業による累積的かつ不可逆的な影響へ強い懸念を示しました。水力発電事業については、遺産価値に対する影響緩和策の有効性を十分に評価するよう求めています。

タンザニア政府の2026年2月提出報告は、発電と下流の洪水制御の役割、環境管理計画による緩和策を説明しています。しかし、委員会はそれによって問題が解決したとは判断していません。ムクジュ事業についても、新たな環境社会影響評価の審査が行われるまで操業を停止するよう改めて要請しました。

同決議は、開発事業の影響、主要動物の状態、世界遺産としての価値と完全性を調べるUNESCO・IUCN合同調査を緊急に求め、危機遺産リストへの記載継続を決定しています。2026年10月31日の確認時点で、危機遺産の記載期間は2014年から継続中です。

世界遺産検定で覚えるポイント

セルー動物保護区はタンザニアの自然遺産で、1982年登録、登録基準は(ix)(x)、2012年に軽微な境界変更があります。ミオンボ林、ルフィジ川の季節的な氾濫、サンド・リバー、大型動物の生息地が特徴です。2014年に危機遺産入りし、2026年も記載が継続しています。ニエレレ国立公園という国内の保護区分と、世界遺産の名称・範囲は区別されます。

参考文献

UNESCO:Selous Game Reserve
UNESCO:2021年保全報告(セルーの節)
タンザニア国立公園局:ニエレレ国立公園
UNESCO:2014年の危機遺産記載
世界遺産委員会決議48 COM 7A.54(2026年)
タンザニア政府:2026年保全報告概要
Lion Landscapes:2025年実績報告
Lion Landscapes:Community Camera Trapping Plus

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世界遺産検定で押さえるポイント

  • セルー動物保護区はタンザニアの自然遺産で、1982年登録、登録基準は(ix)(x)、2012年に軽微な境界変更があります。
  • ミオンボ林、ルフィジ川の季節的な氾濫、サンド・リバー、大型動物の生息地が特徴です。
  • 2014年に危機遺産入りし、2026年も記載が継続しています。
  • ニエレレ国立公園という国内の保護区分と、世界遺産の名称・範囲は区別されます。
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