ラバト:近代都市と歴史的都市が共存する首都とは
ラバトはモロッコの首都であり、大西洋に面しています。2012年に「近代都市と歴史的都市が共存する首都」としてユネスコの世界文化遺産に登録されました。この遺産は、12世紀のムワッヒド朝時代に起源を持つ旧市街(メディナ)と、20世紀初頭にフランス保護領時代に建設された壮大な新市街が調和して共存している点が特徴です。
世界遺産登録基準
- (ii) 旧市街のイスラム建築と新市街の西洋近代建築が影響を与え合い、独自の都市景観を形成している点が評価されました。
- (iv) 20世紀におけるアフリカの都市計画の優れた例であり、歴史的建造物と近代的な都市機能が統合された建築群の顕著な見本であることが評価されました。
遺産の概要と価値
ラバトの遺産は、大きく分けて二つの部分から構成されています。
歴史的都市(旧市街): 12世紀にムワッヒド朝によって築かれた城壁や門、ウダイヤのカスバ、未完のミナレットであるハッサンの塔、そしてムーレイ・イスマイルによって再建されたメディナなどが含まれます。これらは、イスラム世界の伝統的な都市構造を今に伝えています。
近代都市(新市街): フランス保護領時代(1912年~1956年)に、都市計画家アンリ・プロストの設計に基づいて建設されました。王宮、行政施設、住宅地、植物園などが計画的に配置され、ヨーロッパの都市計画思想とモロッコの伝統が融合した独特の景観を生み出しています。
| 主要な構成資産 | 特徴 |
|---|---|
| ウダイヤのカスバ | 12世紀に築かれた要塞。ブー・レグレグ川の河口を見下ろす。 |
| ハッサンの塔 | ムワッヒド朝時代に建設が始められた巨大モスクの未完のミナレット。 |
| ムハンマド5世廟 | ハッサンの塔の向かいに建つ、独立モロッコの初代国王を祀る霊廟。 |
| 新市街 | フランス保護領時代に計画された近代的な都市部。公共建築や庭園が並ぶ。 |