青海フフシル(可可西里)とは
青海フフシル(可可西里)は、中国のチベット高原北東部に広がる広大な自然保護区で、2017年に世界自然遺産に登録されました。平均標高4,500メートルを超える高地に位置し、地球上で最大かつ最も標高の高い高原です。厳しい自然環境の中で、独自の生態系が育まれています。
世界遺産登録基準
- (vii) 類いまれな自然美。広大な高原、雪を頂いた山脈、無数の湖沼が織りなす景観は、圧倒的なスケールと美しさを誇ります。
- (x) 生物多様性の保全上、最も重要な自然生息地。絶滅の危機に瀕するチベットアンテロープ(チルー)の主要な生息地であり、その大規模な回遊ルートが保護されています。
遺産の概要
フフシルは、チベットアンテロープの繁殖地として国際的に極めて重要です。毎年夏になると、数万頭のメスが出産のためにこの地を目指して大移動を行います。他にも、野生のヤク、チベットノロバ、ユキヒョウといった希少な大型哺乳類が生息しており、高地ならではの生物多様性が保たれています。その手つかずの自然は、地球規模での気候変動や生態系の研究においても重要な地域です。
主要な動物
| 動物 | 特徴 |
|---|---|
| チベットアンテロープ(チルー) | 絶滅危惧種。その羊毛は最高級品「シャトゥーシュ」となるため密猟の対象となったが、保護活動が進められている。 |
| 野生のヤク | 家畜ヤクの原種。高地の厳しい環境に適応した大型のウシ科動物。 |
| ユキヒョウ | 高地に生息するネコ科の大型捕食者で、生態系の頂点に立つ。 |
参考文献
「Qinghai Hoh Xil」. UNESCO. https://whc.unesco.org/ja/list/1540