概要
ゼレナー・ホラ(緑の丘)の巡礼教会は、チェコ中部に位置するカトリック教会で、正式名称を「ゼレナー・ホラのネポムクの聖ヨハネ巡礼教会」といいます。14世紀に殉教したボヘミアの聖人、ヨハネ・ネポムク(ヤン・ネポムツキー)を祀るために、18世紀前半に建設されました。建築家ヤン・ブラジェイ・サンティーニ・アイヘルの最高傑作とされ、その独創的な設計から1994年に世界文化遺産に登録されました。
建築と象徴主義
バロック・ゴシック様式
サンティーニ・アイヘルは、当時流行していたバロック様式に、中世のゴシック建築の要素(尖塔アーチやリブヴォールトなど)を融合させた「バロック・ゴシック」という極めてユニークな様式を確立しました。この教会はその代表作であり、ダイナミックな空間構成と神秘的な光の演出が特徴です。
数字「5」の象徴
この教会の設計には、聖ヨハネ・ネポムクの伝説にちなんだ数字の「5」が随所に用いられています。伝説では、彼がヴルタヴァ川に投げ込まれて殉教した際、水面に5つの星が輝いたとされています。これに由来し、教会は上から見ると五芒星の形をしており、5つの礼拝堂、5つの祭壇、5つの門が配置されています。この徹底した象徴主義が、教会全体に神秘的な雰囲気を与えています。
世界遺産登録基準
- (iv) 建築家サンティーニ・アイヘルが創造した「バロック・ゴシック」様式は、当時のヨーロッパ建築において極めて独創的で個性的なものであり、この教会はその思想を最も純粋かつ独創的に表現した傑作である。
参考文献
- UNESCO World Heritage Centre. “Pilgrimage Church of St John of Nepomuk at Zelená Hora”. https://whc.unesco.org/en/list/690