概要―ルネサンスの理想都市
「ザモシチの旧市街」は、ポーランド南東部にある、ルネサンス期に計画的に建設された要塞都市です。16世紀末、ポーランドの大宰相ヤン・ザモイスキが、イタリア・パドヴァ出身の建築家ベルナルド・モランドに設計を依頼し、「理想都市」の理念に基づいてゼロから築き上げました。その完璧な都市計画と統一感のある美しい街並みから「ルネサンスの真珠」と称えられ、1992年に世界文化遺産に登録されました。
遺産の価値
ザモシチの価値は、イタリア・ルネサンスの都市計画理論が、ポーランドの地で完璧に実現された稀有な例である点にあります。壮麗な市庁舎がそびえる大市場広場を中心に、格子状の街路、堅固な要塞、教会、シナゴーグ、そして多彩な装飾が施されたアルメニア人商人の邸宅などが調和の取れた配置で現存しています。創設者ザモイスキが多様な民族の入植を奨励したため、ザモシチは多文化が共存する商業・学術の中心地として繁栄しました。その歴史は、寛容の精神が都市の活力の源泉であったことを示しています。
登録基準
この世界遺産は、以下の登録基準を満たして登録されました。
- (iv) ある歴史上の時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。