概要
チャタルホユックは、トルコ中央部のアナトリア平原に位置する、巨大な新石器時代の集落遺跡です。紀元前7400年頃から紀元前6200年頃にかけて、最大で8000人もの人々が暮らしていたとされ、世界最古級の都市の一つと考えられています。人々は日干し煉瓦の家を密集させて建て、出入りは通りからではなく屋根の開口部から行うという、非常に特徴的な都市構造を持っていました。その考古学的な重要性から、2012年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。
遺産の価値
この遺産の価値は、人類が狩猟採集生活から農耕牧畜に基づく定住社会へと移行する、歴史上極めて重要な時期の社会や文化、信仰を垣間見ることができる点にあります。家々の壁には、狩りの場面や幾何学模様、野生動物などを描いた壁画が残されており、人類最古の芸術活動の例とされています。また、豊穣を象徴する女神像なども多数出土しており、当時の人々の精神世界を理解する上で貴重な手がかりとなっています。
主な特徴
チャタルホユックは、その独特な建築様式と豊かな精神文化で知られています。
| 特徴 | 詳細 |
|---|---|
| 密集した住居群 | 家々には扉がなく、壁を共有して密集している。出入りは屋根に設けられた梯子で行っていた。 |
| 壁画 | 住居の内部の壁には、狩猟風景や火山噴火を描いたとされる世界最古の地図などが描かれている。 |
| 女神像 | 石や粘土で作られた、豊満な女性の姿をした像が多数出土。豊穣や母性の信仰があったと考えられている。 |
| 埋葬習慣 | 死者は家の床下に埋葬される習慣があった。 |
世界遺産登録基準
- (iii) 2000年以上にわたる定住生活の中で育まれた、住居、芸術、儀式などの文化的伝統に関する他に類を見ない証拠である。
- (iv) 人類史の重要な転換期における、集落の組織やレイアウトのあり方を示す顕著な見本である。