概要
ミーソン聖域は、ベトナム中部の密林にひっそりと佇む、古代チャンパ王国の宗教遺跡です。4世紀から13世紀にかけて、ヒンドゥー教シヴァ神を祀る聖地として栄えました。レンガを用いた精緻な建築技術と、インド文化の影響を受けた独自の宗教芸術が評価され、1999年に世界文化遺産に登録されました。
遺産の価値
ミーソン聖域は、東南アジアにかつて存在したチャンパ王国の精神世界と文化を伝える最も重要な物証です。インドからもたらされたヒンドゥー教の建築様式を基にしながら、チャンパ独自の様式を発展させた過程を示しており、文化交流の歴史を知る上で貴重な遺跡です。
登録基準
- (ii) インド亜大陸のヒンドゥー教文化を取り入れ、東南アジアの文化に合わせて独自の精神世界と芸術を発展させたチャンパ文化の交流を示す顕著な例である。
- (iii) 東南アジア史において重要な位置を占めながらも、現在は消滅してしまったチャンパ王国の文明を伝える、たぐいまれな証拠である。
主な見どころ
| 遺跡名 | 特徴 |
|---|---|
| 祠堂群 | シヴァ神をはじめとするヒンドゥー教の神々を祀るために建てられたレンガ造りの祠堂(カラン)が点在しています。 |
| レリーフ彫刻 | 祠堂の壁面には、神々や踊り子、神話上の動物などをかたどった精巧な砂岩のレリーフが施されています。 |
| リンガとヨニ | シヴァ神の象徴であるリンガ(男根)とヨニ(女陰)の石像が多くの祠堂に祀られています。 |
参考文献
UNESCO World Heritage Centre. 「ミーソン聖域」. https://whc.unesco.org/ja/list/949