WORLD HERITAGE
トスカナ地方のメディチ家の別荘と庭園群
トスカナのメディチ家の12別荘と2庭園は、建築、庭園、農地を結び、ルネサンス期の君主邸宅像を変えました。芸術・科学交流とともに、権力、農民・庭師労働、収集、分散資産の保全を解説します。

ESSENTIAL FACTS
基本情報と登録基準
- 登録年
- 2013年
- 登録基準
- (2)・(4)・(6)
- 種類
- 文化遺産
- 国・地域
- イタリア
WHY IT MATTERS
この世界遺産について
12の別荘と2つの庭園からなる世界遺産
トスカナ地方のメディチ家の別荘と庭園群(Medici Villas and Gardens in Tuscany)は、イタリアのトスカナ地方に点在する14の構成資産からなる文化遺産です。2013年に登録基準(ii)(iv)(vi)で世界遺産となりました。登録面積は合計125.4ヘクタール、緩衝地帯は3,539.08ヘクタールです。主に15~17世紀に形成された別荘と庭園は、建築、自然、余暇、芸術、知識を結び付けたメディチ家の文化を伝えます。
12の別荘は、カファッジョーロ、トレッビオ、カレッジ、フィエーゾレ、カステッロ、ポッジョ・ア・カイアーノ、ラ・ペトライア、チェッレート・グイディ、セラヴェッツァ、ラ・マージア、アルティミーノ、ポッジョ・インペリアーレです。これにボーボリ庭園とプラトリーノ庭園が加わります。12の別荘にも庭園が含まれ、「庭園が2か所しかない」という意味ではありません。一つの宮殿敷地ではなく、離れた場所にある資産が共通の価値を示しています。
農村景観へ開かれた邸宅
メディチ家の別荘は、防御を重視した城館や、富裕なフィレンツェ市民の農場とは異なる田園邸宅のあり方を発展させました。ポッジョ・ア・カイアーノでは、ロレンツォ・デ・メディチがジュリアーノ・ダ・サンガッロに設計を委ね、1480年代に工事が始まりました。建物は上から見るとH字形で、周囲を巡るテラスとともに外の景観へ開く構成です。ロレンツォの死とメディチ家の追放で工事は中断し、1512年の帰還後に再開されました。一つの時点で完成した様式ではなく、家の歴史とともに造り継がれた建築です。
水の仕組みと庭師の仕事
ラ・ペトライアの庭園は斜面に三段のテラスを設け、貯水池、噴水、植栽を組み合わせています。公式解説によると、モレッロ山のヴァルチェンニ水道から来た水は庭園の水槽へ導かれ、噴水や灌漑に使われました。下段の庭では地下のテラコッタ製配管が貯水容器へ水を送り、庭師が遠くまで運ばずに採水できる仕組みでした。噴水を楽しむための水と、植物を育てるための水は、同じ庭園の技術と労働に支えられていました。
農場と厨房が支えた別荘生活
ポッジョ・ア・カイアーノの別荘は、オムブローネ川の向こうに広がるカッシーネ・ディ・ターヴォラの農場と結び付いていました。公式解説は、菜園と果樹園のほか、牛の飼育とチーズ生産、養蜂、魚の養殖を挙げています。1614年にはコジモ2世が別棟の大厨房を整備し、料理を運ぶための長さ35メートルの地下通路で別荘と結びました。君主の余暇と祝宴の背後には、食材を生産し、調理し、運ぶための具体的な施設がありました。
植物の継承と後世の改造
柑橘類の収集と栽培はメディチ家の庭園文化の特徴です。ボーボリ庭園のリモナイアは、鉢植えの柑橘を冬の寒さから守るため、メディチ家の時代より後の1777~1778年に建てられ、1816年に拡張されました。南向きの建物内部では、植物同士が日光を遮らないよう、高さの異なる長い台が設けられています。現在の庭園は、ルネサンス期の構想だけでなく、その後の所有者による建築や栽培上の工夫も重ねて受け継いでいます。
登録基準(ii)(iv)(vi)の根拠
基準(ii)は、メディチ家の別荘と庭園が田園の貴族邸宅の新しいモデルとなり、ルネサンス期のイタリアからヨーロッパへ広がった影響を評価しています。基準(iv)は、余暇・芸術・知識のための邸宅と、農村環境に結び付いた庭園を組み合わせた優れた建築・景観の類型を示す点です。基準(vi)では、メディチ家の文化・芸術支援を背景に、新しい美的感覚と暮らし方、イタリア・ルネサンスの理念や趣味が生まれ、普及した重要な場所であることが評価されています。
原作と複製を使い分ける保存
建物や庭園が残っていても、そこに見える装飾がすべて元の素材とは限りません。カステッロ庭園の「ヘラクレスとアンタイオスの噴水」は、保存のため原作の構成部分をラ・ペトライアの屋内に展示し、庭には複製を置いています。このように、庭園全体の構成を伝えながら原作を守る方法も採られています。遺産の価値は個々の建物や彫刻だけでなく、植栽、水、周囲の田園景観との関係にもあります。
世界遺産検定で押さえるポイント
イタリアのトスカナ地方、2013年登録、基準(ii)(iv)(vi)の文化遺産です。メディチ家の12の別荘と2つの庭園からなり、建築・庭園・農村環境の統合、人文主義とルネサンス、ヨーロッパの田園邸宅への影響が主要な要点です。
参考文献
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世界遺産検定で押さえるポイント
- イタリアのトスカナ地方、2013年登録、基準(ii)(iv)(vi)の文化遺産です。
- メディチ家の12の別荘と2つの庭園からなり、建築・庭園・農村環境の統合、人文主義とルネサンス、ヨーロッパの田園邸宅への影響が主要な要点です。
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