ホージャ・アフマド・ヤサヴィー廟とは
ホージャ・アフマド・ヤサヴィー廟は、カザフスタン南部の都市トルキスタンにある、壮大なイスラム建築の霊廟です。12世紀に中央アジアで活躍したスーフィー(イスラム神秘主義)の聖者アフマド・ヤサヴィーを祀るため、14世紀末にティムール朝の創始者ティムールによって建設が命じられました。未完成ながらも、ティムール朝建築の最高傑作の一つとされ、その建築技術と芸術性は中央アジア全域のイスラム建築に多大な影響を与えました。2003年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。
登録基準
この遺産は、以下の基準を満たしたと見なされ、世界遺産に登録されました。
- (i) 人類の創造的才能を表現する傑作。
- (iii) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。
- (iv) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた見本。
遺産の価値と特徴
建築的価値
高さ39メートルに及ぶ巨大な二重ドームや、色鮮やかな幾何学模様やアラビア文字が施されたタイル装飾が特徴です。特に、光沢のあるターコイズブルーのタイルで覆われたドームは、ティムール朝建築の象徴とされています。内部には大小35の部屋があり、モスク、集会所、図書館、食堂などが含まれる複合施設となっています。
歴史的・文化的価値
ティムールによって中央アジアのイスラム世界の中心地として計画されたこの廟は、建設以来、中央アジアのイスラム教徒にとって重要な巡礼地であり続けています。アフマド・ヤサヴィーの教えは、この地域におけるイスラム教の普及に大きく貢献し、廟はその精神的な中心としての役割を果たしてきました。
主要な建築要素
建築要素 | 説明 |
---|---|
カザンディク(大釜の間) | 廟の中心に位置する集会所で、青銅製の大釜が置かれている |
霊廟 | アフマド・ヤサヴィーの石棺が安置されている部屋 |
小モスク | 精巧なムカルナス(鍾乳石飾り)で装飾された礼拝所 |
参考文献
「ホージャ・アフマド・ヤサヴィー廟」(UNESCOでは「ホンジャ・アフメッド・ヤサウイ廟」と表記). UNESCO World Heritage Centre. https://whc.unesco.org/ja/list/1103