WORLD HERITAGE
マナス野生生物保護区
マナス野生生物保護区は、インド・ブータン国境の河川、草地、森林に多様な希少動物を守ります。越境生態系、武力紛争と危機遺産からの回復、地域住民・保護職員、洪水・密猟対策を解説します。

ESSENTIAL FACTS
基本情報と登録基準
- 登録年
- 1985年
- 登録基準
- (7)・(9)・(10)
- 種類
- 自然遺産
- 国・地域
- インド
WHY IT MATTERS
この世界遺産について
マナス野生生物保護区とは
インド北東部アッサム州、ブータン国境沿いのヒマラヤ山麓にある世界自然遺産です。1985年に基準(vii)(ix)(x)で登録され、UNESCO登録欄の面積は39,100haです。マナス川を挟んで草原と森林が広がり、より大きな国立公園の核心を構成します。
山地から運ばれる土砂と植生の変化
マナス川とベキ川の水系は、山麓から土砂や岩屑を運びます。北側の粗い堆積物が重なる地形と、南側の細かな沖積物や地下水位の高い土地では、水はけや植物の育ち方が異なります。草原、湿地、河畔、森林が隣り合う景観は、こうした条件から生まれています。
基準(ix)は、川とモンスーンによる堆積、洪水、植生遷移などの生態過程を評価します。川沿いの植生は洪水で繰り返し更新され、水路から離れるにつれて湿潤な落葉林や半常緑林へと変わります。草食動物による採食も、この生態系の再生に関わります。
三つの登録基準
基準(vii)は、ブータンの山々を背景に流れる川、沖積草原、熱帯林がつくる自然美を評価します。基準(ix)は河川作用と植生の変化、基準(x)は希少種の生息地としての重要性です。トラ、アジアゾウ、インドサイに加え、コビトイノシシ、アラゲウサギ、ゴールデンラングール、ベンガルショウノガンなどが、この地域の多様性を特徴づけています。
国境と登録範囲は同じものではない
北にはブータンのロイヤル・マナス国立公園が接しています。川や動物の移動は国境で止まらないため、国境を越えた協力が重要です。ただし、ここでいう世界遺産はインドの登録資産であり、隣接するブータンの公園まで含む越境世界遺産として登録されているわけではありません。
危機遺産となった時期と回復
マナスは1992年から2011年まで危機遺産一覧表に記載されました。UNESCOの2011年の解除発表は、民族間の騒乱によって損なわれた遺産の価値が回復しつつあることを、委員会が認めたと説明しています。解除は保全上の改善を示しますが、すべての課題の解消や現在の訪問安全を保証するものではありません。
コビトイノシシの再導入
公園責任者と保全事業責任者が2022年に公表した報告では、同年6月8日と10日に飼育繁殖したコビトイノシシ10頭がマナス国立公園へ放されました。これは2020年、2021年に続く再導入でした。背の高い湿潤草原を必要とする小型の動物を守るには、飼育下で増やすだけでなく、戻す先の草地の質とその後の観測が重要です。
IUCN SOSの事業紹介は、2025年末を目標とする草地回廊の復元に地域住民が参加する計画を掲載しています。外来植物の手作業での除去、在来草本の植付け、放獣前の順応、カメラや追跡装置を用いた観測などを組み合わせる内容です。ここで示されているのは事業の目標と活動内容であり、すべての復元目標が達成されたという報告ではありません。
地域社会と管理の役割
UNESCOの管理要件は、アッサム州森林局とボドランド自治評議会による管理を記載し、周辺地域で暮らし資源を利用する住民の参加を重要としています。緩衝地域は複数の用途で利用されており、保全と資源利用の釣り合いが必要です。
監視や密猟対策に加え、職員の技能と設備、侵入植物の調査、動物の回復を測る観測、長期的な資金も求められます。国境沿いの森林から草原、周辺の生活圏までがつながる保全であり、登録区域だけで完結する仕事ではありません。
訪問前の確認
開放区域や入域条件、洪水などによる制限は、訪問直前に管理機関の公式案内を確認してください。希少動物への接近や給餌を避け、移動経路を妨げず、現地職員の指示に従うことが必要です。
参考文献
- UNESCO:登録情報と顕著な普遍的価値
- UNESCO:2011年の危機遺産解除発表
- Mathur・Deka(2022):マナスへのコビトイノシシ再導入報告
- IUCN SOS:コビトイノシシのための草地保全事業
世界遺産検定で押さえるポイント
インド・アッサム州のブータン国境沿いにあり、1985年登録、基準は(vii)(ix)(x)です。河川と山麓の自然美、洪水・堆積・植生遷移、希少種の生息地が価値を支えます。危機遺産の記載期間は1992~2011年です。隣接するブータンの公園は、この世界遺産の登録範囲には含まれません。
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世界遺産検定で押さえるポイント
- インド・アッサム州のブータン国境沿いにあり、1985年登録、基準は(vii)(ix)(x)です。
- 河川と山麓の自然美、洪水・堆積・植生遷移、希少種の生息地が価値を支えます。
- 危機遺産の記載期間は1992~2011年です。
- 隣接するブータンの公園は、この世界遺産の登録範囲には含まれません。
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