概要
「建築家ヴィクトール・オルタによるおもな邸宅」は、ベルギーの首都ブリュッセルにある4つのタウンハウスで構成される世界文化遺産です。19世紀末から20世紀初頭にかけて建築家ヴィクトール・オルタが設計したこれらの邸宅は、アール・ヌーヴォー様式を代表する傑作として知られています。
おもな構成資産
世界遺産には以下の4つの邸宅が登録されています。
- タッセル邸 (Hôtel Tassel): 1893年に完成した、アール・ヌーヴォー建築の最初の例とされる画期的な作品。
- ソルヴェー邸 (Hôtel Solvay): オルタの最高傑作の一つ。内外装に高価な素材が惜しみなく使われています。
- ヴァン・エートヴェルド邸 (Hôtel van Eetvelde): 鉄とガラスを大胆に用いた光あふれる空間構成が特徴です。
- オルタ邸 (Maison & Atelier Horta): オルタ自身の邸宅兼アトリエで、現在はオルタ美術館として公開されています。
遺産の価値
オルタの邸宅は、鉄やガラスといった新素材を構造と装飾の両面で活用し、曲線的で有機的なデザインを生み出しました。内部空間は開放的で流動性に富み、光を巧みに取り入れた設計は、それまでの建築の常識を覆すものでした。これらの革新的な試みは、ヨーロッパ全土のアール・ヌーヴォー運動に決定的な影響を与え、20世紀の近代建築への道を切り拓いた点で高く評価されています。
登録基準
この世界遺産は、以下の登録基準を満たして登録されました。
- (i) 人類の創造的才能を表現する傑作。
- (ii) ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
- (iv) ある歴史上の時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。