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アワッシュ川下流域

アワッシュ川下流域とは

アワッシュ川下流域は、エチオピア北東部のアファール低地に広がる、世界で最も重要な古人類学的遺跡の一つです。600万年近くにわたる人類進化の痕跡が途切れることなく記録されており、「人類発祥の地」の一つとして知られています。1979年に発見された有名なアウストラロピテクス・アファレンシス「ルーシー」の化石をはじめ、数多くの初期人類化石が発見されており、1980年にユネスコの世界遺産に登録されました。

遺産の価値と登録基準

この遺跡の価値は、人類の進化の歴史を解き明かす上で欠かすことのできない、膨大な化石記録が保存されている点にあります。地殻変動によって古い地層が露出し続けており、今なお新たな発見が続いています。

  • 登録基準(ii):この地で発見された化石は、人類の起源と進化に関する我々の理解を根本から変える、極めて重要な価値を持っています。
  • 登録基準(iii):人類進化の最も重要な時期における、最も完全な記録の一つを保持しています。
  • 登録基準(iv):人類の歴史だけでなく、数百万年にわたる動植物相や古環境の変遷を示す顕著な例です。

主要な化石発見

アワッシュ川下流域では、人類進化の様々な段階を示す画期的な化石が数多く発見されています。

通称 学名 年代 特徴
ルーシー (Lucy) アウストラロピテクス・アファレンシス 約320万年前 全身の約40%の骨格が揃った女性の化石。直立二足歩行をしていたことを示す画期的な発見。
アルディ (Ardi) アルディピテクス・ラミダス 約440万年前 ルーシーよりさらに古い時代の化石。樹上生活と二足歩行の両方に対応した特徴を持つ。
セラム (Selam) アウストラロピテクス・アファレンシス 約330万年前 「ルーシーの赤ちゃん」とも呼ばれる幼児の化石。脳の発達などを知る上で貴重な資料。

研究と保全

アワッシュ川下流域は、国際的な研究チームによる調査が継続的に行われている、まさに「生きた研究所」です。発見された貴重な化石を保護し、研究を未来へ繋げていくための保全活動が重要な課題となっています。

参考文献

「アワッシュ川下流域」.UNESCO. https://whc.unesco.org/ja/list/10

アワッシュ川下流域の基本情報

                         
国名 エチオピア連邦民主共和国
世界遺産の名称 アワッシュ川下流域
遺産の種類 文化遺産
登録年 1980
拡張・範囲変更
危機遺産
危機遺産登録期間
登録基準 (ⅱ)(ⅲ)(ⅳ)
備考
範囲(ヘクタール)0
地図

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