ロレンツ国立公園とは
インドネシアのパプア州に位置する、東南アジア最大の国立公園です。1999年にユネスコの世界自然遺産に登録されました。赤道直下にありながら万年雪と氷河を抱くプンチャック・ジャヤ山(標高4,884m)から、低地の熱帯雨林、湿地、マングローブ林が広がる海岸まで、地球上で最も多様な生態系が垂直に連なっているのが特徴です。
世界遺産登録基準
この遺産は、以下の基準を満たしたと評価されました。
- 基準(viii): オーストラリア大陸とニューギニア島のプレート衝突によって形成された山脈や、氷河期の痕跡など、地球の歴史の主要な段階を示す顕著な見本である。
- 基準(ix): 氷河から海に至るまで、手つかずの生態系が連続しており、生物の進化や適応の過程を研究するための貴重な場所である。
- 基準(x): 極めて豊かな生物多様性を誇り、多くの固有種や絶滅危惧種の生息地として、保全上非常に重要である。
他に類を見ない生態系の多様性
ロレンツ国立公園の最大の価値は、一つの保護区内で見られる環境の多様性です。高山帯の氷河、高山草原、山地熱帯雨林、低地熱帯雨林、淡水湿地林、マングローブ林、そしてサンゴ礁の海まで、あらゆる生態系が含まれています。この環境の多様性が、他に類を見ない豊かな生物相を育んでいます。
地理と気候
ニューギニア島西部に広がり、その面積は日本の四国を上回ります。気候は全体的に熱帯雨林気候で高温多湿ですが、標高4,500mを超える山頂付近は氷点下となり、氷河が存在する特異な環境です。公園内には、伝統的な生活を営む先住民のコミュニティも存在します。
観光と保全
アクセスが困難なため、観光客の立ち入りは厳しく制限されています。一部、許可を得てトレッキングや自然観察が行われますが、手つかずの自然と先住民の文化を守ることが最優先されています。鉱山開発などの脅威からこの貴重な自然を守るための取り組みが続けられています。
代表的な動植物
| 分類 | 主な種類 |
|---|---|
| 哺乳類 | キノボリカンガルー類、ブチクスクス、ハリモグラ |
| 鳥類 | フウチョウ(極楽鳥)、ヒクイドリ |
| 植物 | ナンヨウスギ、ラン科植物、多種多様な熱帯雨林の樹木 |