ロード・ハウ群島とは
ロード・ハウ群島は、オーストラリア本土から東に約600km離れたタスマン海に浮かぶ火山性の島々で、1982年に世界自然遺産に登録されました。三日月形のロード・ハウ島を中心に、周囲の小島や岩礁から構成されます。大陸から隔絶された環境のため、独自の進化を遂げた多くの固有種が現存し、「太平洋のガラパゴス」とも称されます。
世界遺産としての価値
この群島は、以下の2つの登録基準で評価されています。
- 登録基準 (vii): 標高875mのガワー山を最高峰とする険しい山々、穏やかなラグーン、世界最南端に位置するサンゴ礁が織りなす対照的で美しい景観を誇ります。
- 登録基準 (x): 群島は生物多様性の保全上、極めて重要な地域です。植物の半数以上、鳥類の多くが固有種であり、絶滅危惧種の生息地となっています。
独自の生態系
ロード・ハウ群島は、固有種の宝庫です。植物では、観葉植物として世界的に有名な「ケンチャヤシ」の原産地です。動物では、飛べない鳥「ロードハウクイナ」が、かつては外来種によって絶滅寸前まで追い込まれましたが、保護活動により個体数が回復しました。また、2001年には、80年以上前に絶滅したと考えられていた巨大な昆虫「ロードハウナナフシ」が近くの岩礁で再発見され、繁殖プログラムが進められています。これは生物保全における奇跡的な事例とされています。
観光と保全
島の脆弱な生態系を守るため、一度に滞在できる観光客の数は400人に制限されています。訪問者は、豊かな自然の中でのハイキング、バードウォッチング、ダイビングなどを楽しむことができます。外来種の駆除やプラスチックごみの削減など、住民と行政が一体となった先進的な環境保全活動が行われており、持続可能な観光のモデルケースとなっています。
| 分類 | 代表的な種 |
|---|---|
| 動物 | ロードハウクイナ(固有種)、ロードハウナナフシ(固有種)、セグロミズナギドリ |
| 植物 | ケンチャヤシ(固有種)、モクマオウ、マウンテンローズ(固有種) |