コネリアーノとヴァルドッビアーデネのプロセッコ栽培丘陵群とは
「コネリアーノとヴァルドッビアーデネのプロセッコ栽培丘陵群」は、イタリア北東部ヴェネト州に広がるワイン生産地で、2019年にユネスコの世界文化遺産(文化的景観)に登録されました。この地域は、世界的に有名なスパークリングワイン「プロセッコ」の高品質な産地として知られ、何世紀にもわたる人間の営みによって形成された独特の農業景観が特徴です。
登録基準
この遺産は、以下の基準を満たしたことが評価されました。
- 登録基準(v):人類の歴史における伝統的な集落や土地利用の顕著な見本。急峻な丘陵地において、手作業でブドウ畑を維持・管理する伝統的な土地利用が、環境と相互作用しながら持続可能な景観を形成している点が評価されました。
遺産の価値
この遺産の価値は、自然の地形と人間の農業技術が完璧に融合した、他に類を見ない文化的景観にあります。
- 独特な農業景観:急斜面に沿って、ブドウの畝が等高線と平行または垂直に配置されています。特に「チリオーニ(ciglioni)」と呼ばれる、草に覆われた小さな土手状の段々畑は、この地域の土壌浸食を防ぎ、水はけを良くするための伝統的な知恵であり、景観の大きな特徴です。
- 文化的伝統:プロセッコの栽培と生産は、この地域の経済と文化の中心であり続けてきました。機械化が困難な地形のため、現在も多くの作業が手作業で行われており、その伝統的な農業技術が景観とともに受け継がれています。
遺産の概要
ヴェネツィアから北に約50km、コネリアーノ市とヴァルドッビアーデネ市にまたがる丘陵地帯です。モザイクのように広がるブドウ畑、森、小さな村々が織りなす牧歌的な風景が広がっています。
特徴 | 詳細 |
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チリオーニ農法 | 急斜面に築かれた草付きの段々畑。土壌流出を防ぐ伝統的なブドウ栽培技術。 |
プロセッコ生産 | 世界的に有名なスパークリングワイン「プロセッコ・スペリオーレDOCG」の中心的な生産地。 |
文化的景観 | ブドウ畑、森、村落が一体となった美しいモザイク状の景観。 |
この丘陵群は、自然環境に適応し、それを巧みに利用してきた人間の創造性と労働の結晶であり、その美しい景観は訪れる人々を魅了します。
参考文献
- UNESCO World Heritage Centre. “Le Colline del Prosecco di Conegliano e Valdobbiadene”. https://whc.unesco.org/en/list/1571