概要
「モスクワのクレムリンと赤の広場」は、ロシア連邦の首都モスクワの中心部に位置し、ロシアの歴史、政治、文化、宗教の象徴として世界的に知られています。1990年に文化遺産として登録されました。クレムリンの堅固な城壁と、それに隣接する広大な赤の広場、そして周辺の歴史的建造物群が一体となって、比類ない景観を形成しています。
クレムリン
「クレムリン」はロシア語で「城塞」を意味し、モスクワ川沿いの丘に築かれた堅固な城壁に囲まれた複合建築群です。歴代のロシアの権力者の拠点であり、現在もロシア連邦大統領府が置かれています。主な建造物は以下の通りです。
- 大聖堂広場:ウスペンスキー大聖堂(生神女就寝大聖堂)、ブラゴヴェシチェンスキー大聖堂(生神女福音大聖堂)、アルハンゲリスキー大聖堂(大天使大聖堂)など、壮麗な教会が立ち並び、皇帝の戴冠式など国家の重要儀式が行われました。
- 大クレムリン宮殿:皇帝の宮殿として建てられた壮大な建物。
- 武器庫(アルジェイナヤ・パラータ):皇帝の宝物や武器、工芸品などを収蔵する博物館。
赤の広場
クレムリンの北東の壁に隣接する、石畳が美しい広大な広場です。「赤」は古語で「美しい」を意味し、その名の通り、ロシアを象徴する美しい建造物に囲まれています。
- 聖ワシリー大聖堂:色とりどりの玉ねぎ型ドームが特徴的な、ロシア建築の最高傑作の一つ。
- グム百貨店:帝政ロシア時代に建てられた壮麗な百貨店。
- 国立歴史博物館:ロシアの歴史に関する豊富なコレクションを誇る赤レンガの建物。
- レーニン廟:ソビエト連邦の初代指導者ウラジーミル・レーニンの遺体が安置されています。
登録基準
この遺産は、以下の基準を満たしたとされています。
- (i) 聖ワシリー大聖堂をはじめとする、人類の創造的才能を表現する傑作である。
- (ii) イタリア人建築家がもたらしたルネサンス様式とロシアの伝統建築が融合し、独自の様式を生み出した。
- (iv) クレムリンは、中世から現代に至るまでのロシアの歴史と建築様式の変遷を示す顕著な例である。
- (vi) ロシア・ツァーリ国からソビエト連邦、そして現代ロシアに至るまで、数々の重要な歴史的事件の舞台となってきた。