コンソの文化的景観とは
コンソの文化的景観は、エチオピア南西部の乾燥した高地に広がる、石垣による段々畑と要塞化された集落が特徴的な文化的景観です。400年以上にわたり、コンソ族が厳しい自然環境に適応しながら築き上げてきた持続可能な土地利用の伝統が評価され、2011年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。
遺産の価値と登録基準
この景観は、人間と自然の相互作用が長期間にわたって生み出した傑出した見本です。土壌浸食を防ぎ、水資源を最大限に活用する伝統的な農業技術と、それに基づいた社会制度が一体となって文化的景観を形成しています。
- 登録基準(iii):世代から世代へと受け継がれてきた土地利用の伝統と、それに関連する文化的信念を示す、類いまれな証拠です。
- 登録基準(v):厳しい環境下で人間が編み出した、持続可能な農業と居住様式の顕著な見本です。
景観を構成する要素
コンソの文化的景観は、農業、社会、文化の各要素が密接に結びついて形成されています。
| 構成要素 | 特徴 |
|---|---|
| 石垣テラス(ダガ・ヘラ) | 山の斜面に築かれた石垣の段々畑。土壌流出を防ぎ、水分を保持する役割を持つ。 |
| 要塞化された集落(パレタ) | 丘の頂上に築かれた、密集した住居と公共空間からなる集落。防御のための高い石垣で囲まれている。 |
| ワガ(Waga) | 亡くなった英雄や長老を記念して作られる木彫りの像。世代を超えて記憶を伝える役割を担う。 |
| 聖なる森 | 集落の近くに点在し、薬草の採取や儀式の場として利用される。地域の生態系維持にも貢献している。 |
文化と伝統
コンソの社会は、共同作業に基づく強固なコミュニティによって支えられています。テラスの維持や集落の防衛は共同で行われ、その伝統は現在も受け継がれています。この文化的景観は、単なる美しい風景ではなく、人々の暮らしと知恵が刻まれた生きた遺産です。
参考文献
「コンソの文化的景観」.UNESCO. https://whc.unesco.org/ja/list/1333