概要
カトマンズの谷は、ネパールの中央部に位置する盆地で、首都カトマンズをはじめ、パタン、バクタプルといった古都が点在しています。古くからネワール文化が花開き、ヒンドゥー教と仏教が共存・融合しながら独自の芸術や建築を発展させてきました。谷には、精巧な木彫りが施された宮殿や寺院、仏塔(ストゥーパ)など、数多くの歴史的建造物が密集しており、「屋根のない博物館」とも称されます。これらの文化遺産群が評価され、1979年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。しかし、2015年のネパール地震で多くの建造物が甚大な被害を受け、危機遺産に登録されましたが、その後の修復・復興の進展により2021年にリストから解除されました。
世界遺産登録基準
- (iii) ヒンドゥー教と仏教が融合し、中世から続くネワール人の芸術的・文化的伝統を今に伝える、他に類を見ない証拠である。
- (iv) パゴダ様式の寺院やダルバール広場など、ネワール職人の高度な技術によって生み出された建築群は、ヒマラヤ地方の都市文明を代表する顕著な例である。
- (vi) 現在も多くの祭礼や儀式が執り行われており、人々の生活と信仰が密接に結びついた、生きた文化遺産である。
主な構成資産
世界遺産には、3都市のダルバール(宮殿)広場や、主要なヒンドゥー教寺院、仏教寺院が含まれています。
遺跡名 | 特徴 |
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カトマンズ・ダルバール広場 | 旧王宮を中心に多くの寺院が立ち並ぶ。クマリの館があることでも有名。 |
パタン・ダルバール広場 | 「美の都」と称されるパタンの中心。石造りのクリシュナ寺院が美しい。 |
バクタプル・ダルバール広場 | 中世の街並みが最もよく保存されている。55窓の宮殿などが有名。 |