カルバリア・ゼブジドフスカとは
ポーランド南部に位置する、広大な巡礼公園です。17世紀初頭、エルサレムの聖地を模して、自然の地形を活かしながら造られました。マニエリスム様式とバロック様式の教会や礼拝堂が点在し、信仰と自然、芸術が一体となった独特の文化的景観を形成しています。現在もポーランドにおける重要なカトリックの巡礼地の一つです。
世界遺産登録の概要
1999年に「カルバリア・ゼブジドフスカ:マニエリスム様式の建築と公園に関連する景観と巡礼公園」として世界文化遺産に登録されました。
- 登録基準(ii):文化的な価値観の交流を示す点。イタリアで生まれた様式がポーランドの地で独自の発展を遂げ、その後のヨーロッパ各地のカルヴァリー(キリストの受難を記念する巡礼地)のモデルとなりました。
- 登録基準(iv):特定の建築様式や技術の優れた見本である点。自然の景観をキリスト受難の物語の舞台として再構成するという、マニエリスムの設計思想を具現化した傑出した例とされています。
遺産の価値と特徴
この遺産の価値は、自然の地形を象徴的な意味を持つ「聖なる場所」へと変容させた、壮大なランドスケープデザインにあります。巡礼者は、「十字架の道行き」に沿って点在する礼拝堂を巡ることで、キリストの受難を追体験します。それぞれの建築物は、周囲の森や丘と一体となり、静かで瞑想的な雰囲気を作り出しています。この信仰と自然が融合した景観は、数世紀にわたり巡礼者の精神的な支えとなってきました。
主な構成資産
広大な敷地内には、大小さまざまな宗教建築物が点在しています。
| 建造物名 | 特徴 |
|---|---|
| 聖母マリアのバシリカ | 巡礼の中心となる壮麗なバロック様式の教会。 |
| 礼拝堂群 | キリストの受難や聖母マリアの生涯の各場面を象徴する40以上の礼拝堂。 |
| 修道院 | ベルナルド会の修道院で、巡礼地の管理と運営を担う。 |
参考文献
「カルヴァリア・ゼブジトフスカ:マニエリスム様式の建築と公園の景観複合体と巡礼公園」UNESCO. https://whc.unesco.org/ja/list/905