概要
「リヨンの歴史地区」は、フランス第2の都市リヨンにある、2000年以上にわたる都市の歴史を物語る広範なエリアです。古代ローマの植民都市「ルグドゥヌム」として始まり、中世・ルネサンス期には商業と金融、絹織物産業で栄えました。異なる時代の市街地が連続して保存されている点が特徴で、1998年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。
世界遺産としての価値
この遺産は、以下の登録基準を満たしていると評価されています。
- 登録基準(ii): ローヌ川とソーヌ川の合流点という地理的条件から、古代よりヨーロッパの南北を結ぶ文化・商業の交流点として重要な役割を果たしてきたこと。
- 登録基準(iv): 古代ローマから現代に至るまで、リヨンが政治、文化、経済の中心地として発展してきた歴史的段階を、その都市構造と建築物の中に明確に示していること。
主要地区
世界遺産に登録されているのは、主に4つの地区です。
地区名 | 特徴 |
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フルヴィエールの丘 | リヨン発祥の地。古代ローマ劇場や神殿の遺跡が残っており、丘の上には19世紀に建てられたノートルダム大聖堂が聳えています。 |
ヴュー・リヨン(旧市街) | ソーヌ川西岸に広がる、ヨーロッパでも最大級のルネサンス様式の市街地。「トラブール」と呼ばれる建物の中庭を通り抜ける通路が特徴的です。 |
プレスキル(半島地区) | ローヌ川とソーヌ川に挟まれた中心市街地。18世紀から19世紀にかけて整備された広場や建物が並ぶ、リヨンの商業・文化の中心です。 |
クロワ・ルース地区 | 19世紀に絹織物産業で栄えた地区。織機を置くために天井が高く窓が大きい、絹織物工(カニュ)たちの独特な住居兼仕事場が残っています。 |