概要
ウィーンの歴史地区は、オーストリアの首都ウィーンの中心部に広がり、2001年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。古代ローマ時代に起源を持ち、ハプスブルク帝国の首都として栄えたこの地区は、ゴシック、バロック、アール・ヌーヴォーなど多様な時代の建築様式が重なり合う壮麗な都市景観を誇ります。また、モーツァルトやベートーヴェンをはじめとする多くの音楽家が活躍した「音楽の都」としても、世界的に重要な文化的価値を持っています。
世界遺産登録基準
- (ii) ウィーンは3つの重要な文化的時代、すなわち中世、バロック時代、そして19世紀後半の「グリュンダーツァイト」を通じて、ヨーロッパの価値観の発展において主導的な役割を果たしました。
- (iv) ヨーロッパの都市景観において、ウィーンの建築遺産は非常に重要な証拠です。
- (vi) 中世以来、ウィーンはヨーロッパの音楽の中心地として世界的に認められており、その事実は普遍的な重要性を持っています。
主な構成資産
歴史地区には、ウィーンの栄華を今に伝える数々の歴史的建造物が含まれています。
| 建造物/施設 | 特徴 |
|---|---|
| ホーフブルク宮殿 | ハプスブルク家の皇帝たちが居住した広大な宮殿。現在は大統領公邸や複数の博物館として利用されています。 |
| シュテファン大聖堂 | ウィーンのシンボルであるゴシック様式の大聖堂。色鮮やかなモザイク屋根が特徴です。 |
| ウィーン国立歌劇場 | 世界最高峰のオペラハウスの一つ。「オペラ座の殿堂」として知られ、豪華な内装を誇ります。 |
| アルベルティーナ美術館 | ヨーロッパ有数のコレクションを誇る美術館。デューラーの「野うさぎ」など、版画コレクションが特に有名です。 |
危機遺産リストへの登録
2017年、ウィーン歴史地区は「危機にさらされている世界遺産(危機遺産)リスト」に登録されました。これは、地区の南端で計画されている高層ビルの建設プロジェクトが、世界遺産としての顕著で普遍的な価値を損なう恐れがあると判断されたためです。