ブハラの歴史地区とは
ウズベキスタンに位置するブハラは、中央アジアで最も完全に近い形で残るイスラム都市の一つです。2000年以上の歴史を持ち、特にシルクロードの中継地として栄えた10世紀前後には、イスラム世界の学術と文化の中心地として「イスラムの光」と称されました。1993年に世界文化遺産に登録された歴史地区には、モスク、マドラサ(神学校)、霊廟、隊商宿などが数多く現存し、中世中央アジアの都市の姿を今に伝えています。
世界遺産登録基準
- (ii) イスラム神学、文化、科学の中心地として、長期間にわたりイスラム世界の建築や都市計画に大きな影響を与えました。
- (iv) イスマイル・サーマーニー廟やカラーン・ミナレットに代表される建築群は、10世紀から17世紀にかけての中央アジアにおけるイスラム建築の発展段階を示す傑出した例です。
- (vi) 中世イスラム世界の宗教的・知的中心地としての役割は、今日においても精神的な重要性を持っています。
遺産の価値
建築の多様性と美しさ
ブハラの建築物は、日干しレンガや焼成レンガ、そして青を基調とした彩釉タイルなど、多様な素材と技法で作られています。壮大なスケールのカラーン・ミナレット、精緻なタイルワークが見事なアブドゥールアジス・ハーン・マドラサなど、イスラム建築の粋が集まっています。
歴史と文化の融合
シルクロードの交差点であったブハラは、ペルシャ、トルコ、アラブ、モンゴルなど、様々な文化の影響を受けてきました。その文化の融合が、建築様式や都市の雰囲気に独自の深みを与えています。
主な見どころ
歴史地区の中心には、カラーン・モスクと対峙する形で建つ現役の神学校ミール・アラブ・マドラサ、そしてブハラの象徴である高さ47mのカラーン・ミナレットが聳え立っています。また、中央アジア最古のイスラム建築であるイスマイル・サーマーニー廟や、歴代ハーンの居城であったアルク城も見逃せません。
| 建築物名 | 特徴 |
|---|---|
| カラーン・ミナレット | 1127年建造。モンゴル軍の破壊を免れた「死の塔」の異名を持つ。 |
| ミール・アラブ・マドラサ | 16世紀建造。現在も神学校として機能している。青いドームが美しい。 |
| イスマイル・サーマーニー廟 | 10世紀初頭の建築。緻密なレンガの組積模様で知られる霊廟。 |
| アルク城 | 5世紀に起源を持つ城塞。歴代君主の居城であり、現在は博物館。 |
観光と保全
ブハラの歴史地区は、そのエキゾチックな雰囲気と歴史的価値から世界中の観光客を魅了しています。旧市街の保存と、観光客の増加に伴うインフラ整備との両立が課題となっており、建造物の修復プログラムなどが継続的に実施されています。