パッタダカルの寺院群とは
パッタダカルの寺院群は、インド南部カルナータカ州のマラプラバー川沿いに位置するヒンドゥー教寺院の遺跡群です。7世紀から8世紀にかけて、前期チャールキヤ朝の歴代王によって建設されました。インド北部のナーガラ様式と南部で発展したドラヴィダ様式という2つの異なる建築様式が見事に融合・共存している点が特徴で、インド寺院建築の実験的な場であったとされています。その芸術的価値と歴史的重要性から、1987年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。
世界遺産登録基準
(iii) 文明の証拠: チャールキヤ朝の芸術と建築の頂点を示す類まれな証拠であり、この地域で栄えた文化や文明を物語っています。
(iv) 建築様式の顕著な見本: インドの主要な建築様式であるナーガラ様式とドラヴィダ様式が融合した初期の例として、建築史上で極めて重要な価値を持っています。
建築様式と主な寺院
パッタダカルでは、異なる建築様式が隣り合って建てられており、当時の建築家たちの交流と技術革新の様子をうかがい知ることができます。特に代表的な寺院は以下の通りです。
- ヴィルーパークシャ寺院: 最大規模を誇るドラヴィダ様式の寺院。精巧な彫刻が施され、パッタダカルの傑作とされています。
- マッリカルジュナ寺院: ヴィルーパークシャ寺院に隣接するドラヴィダ様式の寺院で、同様に美しい彫刻で知られます。
- サンガメーシュワラ寺院: 最も古い寺院の一つで、初期のドラヴィダ様式の特徴を示しています。
- カシ・ヴィシュワナータ寺院: ナーガラ様式で建てられた寺院で、北インド建築の影響が見られます。
観光と保全
パッタダカルの寺院群は、その壮麗な建築と彫刻で多くの観光客を魅了しています。遺跡の風化や損傷を防ぐため、インド考古調査局による保護活動が行われており、訪問者には歴史遺産への敬意と保護の重要性を理解することが求められています。