ゴレスターン宮殿とは
ゴレスターン宮殿は、イランの首都テヘランの中心部に位置する壮麗な宮殿群で、2013年に世界文化遺産に登録されました。「バラの庭園の宮殿」を意味するこの場所は、18世紀末から20世紀初頭にかけてイランを統治したカージャール朝の王宮でした。ペルシアの伝統的な建築・美術と、西洋の先進的な技術や様式が融合した独特のスタイルが特徴です。
世界遺産登録基準
- (ii) 19世紀以降、ペルシアの伝統芸術と西洋の建築・技術が融合し、新たな芸術様式が生まれたことを示す顕著な例です。
- (iii) カージャール朝時代の芸術と建築の最高傑作であり、当時のイランにおける芸術的・文化的な中心地であったことを示しています。
- (iv) ペルシアの工芸と建築にヨーロッパの技術とモチーフを統合したデザインは、19世紀のイランの芸術運動を象徴する建築様式です。
遺産の価値
ゴレスターン宮殿の価値は、ペルシア文化が西洋文化と出会い、独自の芸術様式を生み出した歴史的な転換点を体現している点にあります。鏡の間(タラーレ・アイネ)、大理石の玉座(タフテ・マルマル)、太陽の宮殿(シャムス・オル・エマーレ)など、各建物は豪華な鏡細工、タイル装飾、絵画で彩られており、カージャール朝の栄華を今に伝えています。イラン近代化の幕開けを象徴する重要な文化遺産です。
主要な建物の概要
建物名 | 特徴 |
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大理石の玉座(タフテ・マルマル) | 65枚の黄色い大理石で作られた玉座が置かれた屋外の広間。王の即位式が行われた。 |
鏡の間(タラーレ・アイネ) | 壁と天井が全面鏡細工で覆われた豪華な部屋。 |
太陽の宮殿(シャムス・オル・エマーレ) | 当時テヘランで最も高かった建物。西洋建築の影響が見られる。 |