ゲベル・バルカルとナパタ地域の遺跡群とは
ゲベル・バルカルとナパタ地域の遺跡群は、スーダン北部のナイル川沿い、約60kmにわたって点在する古代遺跡群で、2003年に世界文化遺産に登録されました。この地域は、古代クシュ王国のナパタ時代(紀元前900年~紀元前270年)からメロエ時代(紀元前270年~紀元350年)にかけての文明の中心地でした。遺跡群には、ゲベル・バルカルの聖なる山をはじめ、クル、ヌリ、サナム、ズマの各地区に残るピラミッド、神殿、宮殿、墓などが含まれます。
世界遺産としての価値
この遺跡群は、古代エジプト文明の影響を受けつつも、独自の文化を育んだクシュ王国の文明を物語る類まれな証拠です。
- 登録基準(i), (ii), (iv): 古代エジプトとアフリカ内陸部の文化が融合して生まれた、建築、芸術、宗教の傑作である。
- 登録基準(iii): ナパタおよびメロエ文化という、消滅した文明の卓越した証拠を今に伝えている。
- 登録基準(vi): ゲベル・バルカルの山は、古代エジプトの最高神アメン信仰と深く結びつき、2000年以上にわたって信仰の中心地であり続けた「聖なる山」としての顕著な宗教的価値を持つ。
主な構成資産
ナイル川流域に点在する5つの地区が、クシュ王国の歴史を物語っています。
施設 | 特徴 |
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ゲベル・バルカル | 古代エジプトの神アメンが住むとされた「聖なる山」。麓にはアメン神殿など多数の神殿が残る。 |
クルの王墓群 | 初期クシュ王国の王族の墓地。一部は小規模なピラミッドを持つ。 |
ヌリのピラミッド群 | タハルカ王をはじめとする後のクシュ王国の王たちが眠るピラミッド群。 |
サナムの遺跡 | 神殿や宮殿、倉庫跡などが発見されている。 |
ズマの墳墓群 | 独特な形状を持つ墳丘墓が見られる。 |