ドニャーナ国立公園とは
ドニャーナ国立公園は、スペイン南西部アンダルシア州のグアダルキビル川河口に広がる、ヨーロッパ最大級の湿地帯を中心とした国立公園です。湿地、砂丘、森林という多様な環境がモザイク状に混在し、非常に豊かな生物多様性を誇ります。特に、渡り鳥の重要な中継地・越冬地として国際的に知られており、1994年にユネスコの世界自然遺産に登録されました。
多様な生態系
公園内は主に3つの異なる景観で構成されています。
- 湿地帯(ラス・マリスマス):公園の大部分を占め、季節によって水位が変動する広大な湿地。冬にはフラミンゴなど数十万羽の水鳥が飛来します。
- 移動砂丘(ドゥナス・モビレス):大西洋から吹き付ける風によって常に形を変える、ヨーロッパ最大級の移動砂丘地帯。
- 森林地帯(コトス):地中海性の森林で、主に松やコルクガシが自生しています。
豊かな生物多様性
多様な環境を持つドニャーナは、多くの動植物の貴重な生息地となっています。特に、絶滅の危機に瀕しているイベリアオオヤマネコとスペインカタシロワシという、イベリア半島を代表する2つの希少種の最重要生息地の一つです。これらを含め、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類など、数多くの種が確認されており、ヨーロッパにおける生物多様性のホットスポットとなっています。
世界遺産としての評価
ドニャーナ国立公園は、以下の3つの基準を満たしたことで世界遺産に登録されました。
- 登録基準(vii):湿地、砂丘、森林が織りなす壮大で多様な景観美が評価されました。
- 登録基準(ix):多様な生態系が相互作用しながら進化・発展する、地球の生態学的プロセスを示す顕著な見本である点が評価されました。
- 登録基準(x):絶滅危惧種を含む多くの生物種にとって不可欠な生息地であり、生物多様性の保全上、極めて重要な地域である点が評価されました。