ジャー動物保護区とは
アフリカ中央部、カメルーン南部に位置する、アフリカ最大級の熱帯雨林保護区の一つです。ジャー川によってその境界のほとんどが自然の要塞のように囲まれており、大規模な開発から守られてきました。非常に豊かな生物多様性を誇り、特に霊長類の生息地として重要な価値を持つことから、1987年に世界自然遺産に登録されました。
世界遺産としての価値
この遺産は、以下の2つの登録基準を満たしています。
- 登録基準(ix) 生態系: 人為的な影響をほとんど受けていない、広大で原生的な熱帯雨林の生態系が維持されています。河川に囲まれた地理的条件が、その独特の生態系の保全に寄与しています。
- 登録基準(x) 生物多様性: 多くの絶滅危惧種を含む、非常に高い生物多様性を誇ります。ニシローランドゴリラやチンパンジー、マルミミゾウなどの大型哺乳類をはじめ、5種の絶滅危惧霊長類が生息しています。また、地域の先住民であるバカ族の生活と文化も、この豊かな森と密接に結びついています。
手つかずの熱帯雨林
ジャー動物保護区の森林は、ほとんど伐採されておらず、原生の状態が保たれています。この手つかずの環境が、多様な動植物にとって理想的な生息地を提供しています。研究者にとっては、熱帯雨林の生態系を研究するための貴重なフィールドとなっています。また、バカ族の人々は、伝統的な知識に基づき、森林資源を持続可能な形で利用しながら生活を営んでいます。
主な動植物 | 説明 |
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マルミミゾウ | 熱帯雨林に適応した小型のゾウ。密猟の脅威に晒されている。 |
ニシローランドゴリラ | 絶滅危惧IA類に分類される大型類人猿。 |
チンパンジー | 人間に最も近縁な類人猿の一つ。 |
ボンゴ | 森に住む美しい縞模様を持つウシ科の動物。 |
ジャー動物保護区は、地球に残された貴重な熱帯雨林の宝庫です。しかし、近年は密猟や周辺地域での開発の圧力といった脅威に直面しており、国際的な協力のもとで保護活動が強化されています。