概要
「シントラの文化的景観」は、ポルトガルの首都リスボン近郊の山間に広がる、宮殿と庭園、自然が一体となった美しい地域です。ムーア時代から19世紀に至るまで、様々な時代の王侯貴族に愛され、多様な様式の建築物が次々と建てられました。自然の地形と調和したロマン主義的な景観は、ヨーロッパの造園や景観設計に大きな影響を与え、1995年に文化的景観として初めて世界遺産に登録されました。
世界遺産登録基準
- (ii) イスラム美術とヨーロッパのゴシック、ルネサンス、マヌエル、ロマン主義といった様式が見事に融合し、文化的交流を物語っています。
- (iv) 19世紀ヨーロッパのロマン主義建築を代表する景観であり、その後の造園や景観デザインに多大な影響を与えました。
- (v) 自然環境と人間の創造物が見事に調和した、伝統的な土地利用の傑出した例です。
主な構成資産
シントラの景観は、それぞれ異なる時代と様式を代表する多様な建造物から成り立っています。
- ペーナ宮殿:山頂にそびえるカラフルな宮殿で、19世紀ロマン主義建築の最高傑作とされています。様々な建築様式が混在する幻想的な外観が特徴です。
- シントラ宮殿:街の中心部に位置し、巨大な2つの円錐形の煙突がシンボルです。中世から王家の夏の離宮として使われ、ゴシック様式やマヌエル様式など増改築の歴史を反映しています。
- ムーアの城跡:8世紀から9世紀にかけてムーア人によって築かれた城壁で、山の尾根に沿って続いています。城壁の上からはシントラの街や大西洋を一望できます。
- レガレイラ宮殿:20世紀初頭に建てられた宮殿と庭園で、錬金術やテンプル騎士団のシンボルが散りばめられた謎めいた空間が広がっています。