チャトラパティ・シヴァージー・ターミナス駅とは
チャトラパティ・シヴァージー・ターミナス駅は、インド最大の都市ムンバイにある歴史的な鉄道駅です。イギリス植民地時代の1887年に、当時のヴィクトリア女王の在位50周年を記念して「ヴィクトリア・ターミナス」の名で完成しました。1996年に現在の名称に変更されましたが、現在も多くの人々に「CST」や「VT」の略称で親しまれています。その壮麗な建築と歴史的価値から、2004年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。
建築様式の特徴
この駅舎はイギリス人建築家F.W.スティーブンスの設計によるもので、ヴィクトリア朝のゴシック・リバイバル建築と、インドの伝統的な宮殿建築の要素が見事に融合した「インド・サラセン様式」の傑作とされています。石造りの巨大なドームや尖塔、精緻な動植物の彫刻、ステンドグラスなどが特徴で、単なる駅舎ではなく、さながら宮殿のような威容を誇ります。これは、当時のイギリスがインドにおける商業と鉄道網の中心地としてのムンバイの重要性を示すための象徴的な建築でした。
世界遺産登録基準
(ii) 文化交流の証拠: 19世紀のイギリスの建築技術とインドの伝統的な装飾技術が融合し、新しい建築様式を生み出した優れた例です。
(iv) 建築技術の顕著な見本: インド亜大陸における商業の中心地のターミナル駅として、ヴィクトリア朝後期の公共建築の傑作であり、当時の鉄道技術の高さを象徴しています。
現代における役割
チャトラパティ・シヴァージー・ターミナス駅は、現在もムンバイの長距離列車と近郊列車の主要なハブとして機能しており、毎日数百万人の人々が利用しています。歴史的建造物としての価値を保全しながら、現代の大都市の重要なインフラとして生き続けている点に、この遺産の大きな意義があります。