チャンキーヨの太陽観測と儀式の中心地とは
チャンキーヨは、ペルー北部の沿岸砂漠地帯に位置する、紀元前250年から200年頃に栄えた古代の複合遺跡です。この遺跡は、丘の上に築かれた要塞のような「強化神殿」、そして南北に連なる「13の塔」などで構成されており、アメリカ大陸で最も古い天文観測所の一つとされています。太陽の動きを正確に観測し、暦を定めるための精巧なシステムを持っていました。2021年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。
主な構成資産
遺跡の中心は、太陽の運行を観測するために意図的に配置された建造物群です。
| 構造物名 | 特徴 |
|---|---|
| 13の塔 | 約300mにわたってほぼ等間隔に並ぶ石造りの塔。東と西にある観測所から見ると、日の出と日の入りの位置が塔の間を移動することで、1年を通じて日付を正確に特定できました。 |
| 強化神殿 | 三重の壁に囲まれた丘の上の建造物。儀式の中心地であったと考えられています。 |
| 観測所 | 13の塔を観測するために東西に設けられたポイント。ここからの視点が、太陽暦として機能する上で不可欠でした。 |
世界遺産としての価値
チャンキーヨは、道具を使わずに、建築物そのものを天文観測装置として利用した「ランドスケープ・カレンダー」の顕著な例です。日の出・日の入りの位置を正確に追跡することで、夏至や冬至、春分、秋分を特定し、農作業の時期や宗教儀式の日程を決めていたと考えられています。古代の人々が高度な天文学的知識を持ち、それが社会の運営に深く関わっていたことを示す傑作と評価されています。
登録基準
- (i) 13の塔とその観測所は、太陽の動きを正確に追跡するために設計された独創的なシステムであり、人類の創造的才能を示す傑作です。
- (iv) チャンキーヨは、古代世界における天文学の役割を具体的に示す建造物群であり、科学技術史の重要な段階を物語る顕著な例です。