ヴロツワフの百周年記念ホールとは
ポーランド西部の都市ヴロツワフにある、20世紀初頭の近代建築を代表する多目的ホールです。建築家マックス・ベルクの設計により、1913年に「ライプツィヒの戦い」での勝利100周年を記念して建設されました。当時最先端の素材であった鉄筋コンクリートを大胆に用いた、巨大なドーム構造が特徴です。
世界遺産登録の概要
2006年に「ヴロツワフの百周年記念ホール」として世界文化遺産に登録されました。
- 登録基準(i):人類の創造的才能を表す傑作である点。機能性と構造美を両立させたデザインは、鉄筋コンクリート建築の可能性を飛躍的に高めた傑作と評価されています。
- 登録基準(ii):文化的な価値観の交流を示す点。その後の近代建築の発展、特に大規模な鉄筋コンクリート建築の設計に大きな影響を与えました。
- 登録基準(iv):特定の建築様式や技術の優れた見本である点。20世紀初頭における先駆的なエンジニアリングと建築の融合を示す、画期的な建造物とされています。
建築としての価値
百周年記念ホールの価値は、鉄筋コンクリートという新しい素材の表現力を最大限に引き出した点にあります。それまで石やレンガの模倣に使われることが多かった鉄筋コンクリートを、素材そのものの特性を活かした力強く正直なデザインに昇華させました。特に、巨大なリブ(骨組み)が露出した内径65メートルのドームは、当時の建築技術の限界を押し広げるものでした。このホールは、機能主義や表現主義といった後の近代建築運動の先駆けとなる重要な作品です。
建築の概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 設計者 | マックス・ベルク |
| 建設期間 | 1911年~1913年 |
| 建築様式 | 近代建築(初期モダニズム) |
| 構造 | 鉄筋コンクリート造 |
| ドーム内径 | 65メートル |
| 高さ | 42メートル |
参考文献
「ヴロツワフの百周年記念ホール」UNESCO. https://whc.unesco.org/ja/list/1165