WORLD HERITAGE
バフラの砦
オマーン内陸のオアシス都市を守った巨大な日干しれんがの城塞。砦、集落、モスク、スーク、周壁、ファラジ灌漑が結び付き、中世社会の防衛と水管理の歴史を伝える文化遺産です。

ESSENTIAL FACTS
基本情報と登録基準
- 登録年
- 1987年
- 登録基準
- (4)
- 種類
- 文化遺産
- 国・地域
- オマーン
WHY IT MATTERS
この世界遺産について
基本情報と遺産の価値
バフラの砦はオマーン内陸部のオアシスにある文化遺産で、1987年に登録基準(iv)で登録されました。登録範囲は346.44ヘクタールです。巨大な砦だけを指すのではなく、バフラのオアシス集落、金曜モスク、伝統的居住区、スーク、周壁、ファラジと呼ばれる灌漑施設が結び付いた防衛都市の体系として理解します。
バヌー・ナブハーン朝とオアシス都市
12世紀から15世紀末にかけて中央オマーンで勢力を持ったバヌー・ナブハーン朝は、バフラを拠点の一つとしました。乾燥地の都市では、水源、農地、交易路、居住地を一体として守る必要があります。砦と周壁は軍事施設であると同時に、政治、行政、交易、農業を支えるオアシス社会の中心でした。
日干しれんがの建築と防御
砦は石の基礎の上に日干しれんがや土を用いて築かれ、塔、城壁、門、内部空間が複雑に組み合わさります。火器が支配的になる前のアラビア半島における防御建築の顕著な例です。土の建築は地域で得られる材料を使い、厚い壁が熱を和らげる一方、雨水と排水不良に弱いため、継続的な手入れを前提とします。
ファラジと集落の構成
ファラジは地下水や湧水を緩い勾配で導き、共同体で分配する水路体系です。水は飲用、生活、ナツメヤシ畑などへ配られ、居住区、モスク、市場の位置と発展を支えました。砦だけを孤立した記念物として見ると、乾燥地で都市を維持した水管理と社会組織を見失います。周辺の景観と伝統的住宅も遺産価値の理解に不可欠です。
登録基準(iv)
基準(iv)は、人類史上の重要な段階を示す建築物、建築群、景観の顕著な例を評価します。バフラでは、中世イスラーム期のオアシス都市と、バヌー・ナブハーン朝の権力を支えた土造防御建築の体系が評価されました。「日干しれんがの砦」だけでなく、「防御」「オアシス」「ファラジ」「集落」を一組で覚えます。
危機遺産と修復の教訓
土壁の急速な劣化と不適切な修復への懸念から、1988年に危機遺産リストへ記載されました。初期の修復では近代的材料の使用が問題となりましたが、1995年以降は伝統的な土材料、排水、屋根、構造の安定化を重視し、記録に基づく修復へ転換しました。改善を受けて2004年に危機遺産リストから除外されました。
現在まで続く保全課題
土造建築は風雨、排水、温度変化によって劣化し、伝統的住宅の放棄や現代材料への置換も集落全体の真正性を弱めます。都市開発、交通、観光施設、眺望への影響も管理対象です。修復を新築のように整えるのではなく、既存材料を最大限残し、交換と復元の根拠を記録し、土建築の技能を継承する必要があります。
世界遺産検定で覚えるポイント
- オマーン、1987年登録、基準(iv)
- バヌー・ナブハーン朝、12~15世紀末
- 石の基礎と日干しれんがの防御建築
- 砦、周壁、集落、スーク、モスク、ファラジ
- 1988~2004年に危機遺産
- 近代材料から伝統的土材料による修復へ転換
危機遺産への記載理由と、修復方法そのものが問われる遺産として整理します。
旅の計画と土造遺産への配慮
公開範囲、入場、ガイド、修復工事、礼拝や地域行事、気象条件は変わります。土壁や未公開区域へ登らず、集落の私有空間へ立ち入りません。強い雨の後は安全上の制限が生じる可能性があります。服装、撮影、交通を含め、公開前と訪問直前にオマーンの文化遺産当局、施設、日本の外務省等の最新情報を確認してください。
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