アラブ・ノルマン様式のパレルモおよびチェファルとモンレアーレの大聖堂群とは
「アラブ・ノルマン様式のパレルモおよびチェファルとモンレアーレの大聖堂群」は、イタリアのシチリア島に位置する9つの歴史的建造物群で、2015年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。この遺産は、12世紀のノルマン朝シチリア王国時代に築かれ、イスラム、ビザンティン、ラテン(ノルマン)という異なる文化が融合して生まれた、独自の「アラブ・ノルマン様式」を特徴としています。
世界遺産登録基準
- 登録基準(ii): 西洋、イスラム、ビザンティンという異なる文化圏の価値観が交流し、空間、構造、装飾において独創的な融合を生み出した、類まれな証拠である。
- 登録基準(iv): アラブ・ノルマン様式は、中世地中海世界における多文化共存の優れた例であり、新しい建築様式を生み出した画期的な出来事を物語っている。
遺産の価値
この遺産の価値は、異なる文化が見事に調和した建築美と、その背景にある歴史的な多文化共存の精神にあります。
- 建築の美しさ: イスラム建築の幾何学模様、ビザンティン美術の荘厳な金地モザイク、そしてノルマン建築の堅牢な構造が一体となり、他に類を見ない壮麗な空間を創り出しています。
- 歴史的背景: これらの建造物は、異なる宗教や文化を持つ人々が共存し、互いに影響を与え合ったシチリアの「黄金時代」を象徴する歴史的証拠です。
主な構成資産
遺産はパレルモ、チェファル、モンレアーレの3都市に点在する9つの資産で構成されています。
主な建造物 | 特徴 |
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パラティーナ礼拝堂(パレルモ) | 王宮内にあり、アラブ・ノルマン様式の最高傑作と称される。息をのむほど美しいモザイクで覆われている。 |
モンレアーレ大聖堂 | 旧約・新約聖書の物語を描いた約6,340平方メートルに及ぶ金地のモザイクは圧巻。 |
チェファル大聖堂 | 後陣を飾る巨大な「全能者ハリストス(キリスト)」のモザイクが有名。 |
観光と保全
これらの建造物はシチリア観光のハイライトとして人気が高く、世界中から多くの観光客が訪れます。貴重な文化遺産を後世に伝えるため、モザイクの修復など、継続的な保存活動が重要視されています。