平遥古城とは
平遥古城(へいようこじょう)は、中国山西省に位置する、明代の姿をほぼ完全な形で残す城郭都市です。14世紀に築かれた壮大な城壁に囲まれ、内部には伝統的な街並みや建築物がそのまま保存されています。清代には中国全土の金融を支配した「票号」と呼ばれる為替手形の組織がこの地で誕生し、中国の金融の中心地として繁栄しました。1997年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。
世界遺産としての価値
平遥古城は、明清時代の中国における漢民族の都市の典型的な姿を、非常に良好な保存状態で示している点が評価されています(登録基準iii, iv)。碁盤の目状の街路、四合院形式の住居、そして街の中心に位置する市楼など、伝統的な都市計画の要素が一体となって残されています。また、中国初の銀行とされる「日昇昌」をはじめとする金融機関の跡は、前近代における中国の商業・金融の発展を物語る貴重な証拠です(登録基準ii)。
主な見どころ
- 平遥城壁:14世紀に築かれ、周囲約6.4km、高さ約12mの壮大な城壁。72の望楼と3000の狭間(銃眼)があり、孔子の弟子たちの数を象徴していると言われます。
- 日昇昌記(にっしょうしょうき):1823年に設立された中国初の票号(銀行)。ここから全国に金融ネットワークが広がりました。内部は当時の様子が再現されています。
- 双林寺(そうりんじ):城外にある仏教寺院。特に「東洋の彩色彫刻芸術の宝庫」と称される、宋・元・明代の精巧な2000体以上の仏像群で知られています。