テトゥアンの旧市街(旧名ティタウィン)とは
テトゥアンの旧市街(メディナ)は、モロッコ北部の地中海沿岸に位置する歴史都市で、1997年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。15世紀末にレコンキスタ(キリスト教徒による国土回復運動)によってスペインから追放されたアンダルシアのムーア人(イスラム教徒)が再建した町であり、その建築や文化にアンダルシアの影響が色濃く残っているのが最大の特徴です。
世界遺産登録基準
- (ii) アンダルシアのイスラム文化とモロッコの土着文化が融合し、独自の芸術と建築様式を生み出した。
- (iv) 15世紀以降のアンダルシア難民によって再建された都市の構造が、ほぼ完全な形で保存されている。
- (v) 外部からの影響を受けながらも、伝統的な都市構造と生活文化が一体となって維持されている顕著な例である。
遺産の概要と価値
テトゥアンの旧市街は、丘の斜面に沿って広がり、白壁の家々が密集する美しい景観を見せます。その起源は、スペインのグラナダが陥落した後、この地に逃れてきた人々が故郷を模して町を築いたことにあります。そのため、路地や家々の造りには、洗練されたアンダルシアの建築様式が見られます。また、テトゥアンはスペインの保護領時代の首都であった歴史も持ち、新市街にはスペイン風の建築も多く残っています。イスラムとヨーロッパの文化が交錯する独特の雰囲気を持つこの町は、現在も美術や工芸の中心地として知られています。
主要な特徴
| 遺跡名 | 特徴 |
|---|---|
| 旧市街(メディナ) | 白壁の家々と緑のタイルが特徴。アンダルシア様式の影響が色濃い。 |
| スーク(市場) | 皮なめし職人、宝石職人、織物職人など、伝統的な手工業が今も息づく。 |
| カスバ | メディナを見下ろす高台にある城砦。町の歴史の起点となった場所。 |