ヴォルビリスの考古遺跡とは
ヴォルビリスの考古遺跡は、モロッコ北部に位置する古代ローマ帝国の都市遺跡で、1997年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。紀元前3世紀にマウレタニア王国の首都として築かれ、後にローマ帝国の属州の拠点として繁栄しました。保存状態の良いモザイク画や公共建築物が数多く残されており、ローマ帝国最西端の都市の姿を今に伝えています。
世界遺産登録基準
- (ii) ローマ、土着のベルベル、そして後のイスラムなど、多様な文化の影響が融合した都市計画と建築様式を示す。
- (iii) ローマ化以前の原住民文化からローマ都市、そしてイスラム化初期へと至る文化の変遷を伝える貴重な証拠である。
- (iv) ローマ帝国の辺境都市における行政、宗教、経済活動の中心地としての建築群の優れた見本である。
- (vi) ローマ帝国とアフリカ先住民との関係や、キリスト教、イスラム教への信仰の変遷など、重要な歴史的出来事と関連している。
遺産の概要と価値
ヴォルビリスは、オリーブオイルの生産と交易によって経済的に繁栄し、その富を背景に壮麗な都市が築かれました。凱旋門、公共広場(フォルム)、バシリカ(公会堂)、神殿、公衆浴場といったローマ都市の典型的な施設が整然と配置されています。特に注目されるのは、裕福な邸宅の床を飾っていた色鮮やかで精巧なモザイク画で、「オルフェウスの家」や「ヘラクレスの功業」など、ギリシャ・ローマ神話を題材にしたものが多く発見されています。3世紀後半にローマ帝国が撤退した後も人々は住み続けましたが、徐々に衰退し、現在は広大な遺跡としてその歴史を物語っています。
主要な遺跡
遺跡名 | 特徴 |
---|---|
凱旋門 | カラカラ帝の治世(217年)に建設された。都市のメインストリートの起点。 |
バシリカ | 裁判や商業取引が行われた公会堂。保存状態が良い。 |
邸宅のモザイク画 | 神話の場面や日常生活を描いた芸術性の高い床モザイクが多数残る。 |