サカテカスの歴史地区とは
メキシコ中央部の山岳地帯に位置する歴史的な鉱山都市で、1993年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。16世紀に銀鉱脈が発見されて以降、スペイン植民地時代を通じてヌエバ・エスパーニャ有数の鉱業の中心地として繁栄しました。その富を背景に、豪華なバロック様式の宗教建築や邸宅が数多く建てられました。
遺産の概要と特徴
サカテカスの歴史地区は、鉱山都市ならではの不規則な都市計画と、ヨーロッパの建築様式と先住民の装飾美術が融合した独特の景観に価値があります。
- チュリゲラ様式の建築: 特にサカテカス大聖堂のファサードは、メキシコ独自の発展を遂げた過剰装飾のバロック様式「チュリゲラ様式」の最高傑作と称され、精緻な彫刻で埋め尽くされています。
- 起伏に富んだ都市景観: 狭い谷間に築かれた都市であるため、坂道や迷路のような路地が続き、高台からはピンク色の石で造られた美しい街並みを一望できます。
- 鉱山都市の歴史: 銀の採掘と精錬が都市の発展の原動力であり、その歴史は街の文化やアイデンティティに深く刻まれています。
世界遺産登録基準
- (ii) ヨーロッパの建築様式と、先住民の装飾的伝統が融合した顕著な例である。
- (iv) 植民地時代に経済的・宗教的に重要な役割を果たした都市の、優れた建築群の典型である。
主要な建造物
| 建造物名 | 特徴 |
|---|---|
| サカテカス大聖堂(カテドラル) | ピンク色の石造りのファサードが特徴。メキシカン・バロック(チュリゲラ様式)の傑作。 |
| サン・アグスティン教会 | かつての教会で、現在は美術館。美しい彫刻が施された門が残る。 |
| エル・エデン鉱山 | かつて銀を採掘していた鉱山跡。現在は観光用に公開され、内部を見学できる。 |