カンペチェ州、カラクムルの古代マヤ都市とは
メキシコのユカタン半島南部の広大な熱帯雨林に位置する古代マヤ文明の都市遺跡です。マヤ文明の古典期に大国として栄え、周辺の自然環境と共に2002年に文化遺産として登録された後、2014年に自然遺産の基準も満たす複合遺産として拡大登録されました。遺跡はカラクムル生物圏保護区内にあります。
遺産の概要と価値
カラクムルの価値は、マヤ文明を代表する巨大都市遺跡である点と、豊かな生物多様性を保持する自然環境が一体となっている点にあります。
- 建築と芸術: 「構造物I」「構造物II」と呼ばれる巨大なピラミッドをはじめ、100を超える石碑(ステラ)など、マヤ文明の壮大な建築技術と精巧な芸術性を示しています。
- 文化的影響: かつてティカルと覇権を争った大国の中心地であり、マヤ文明の宗教、社会、政治を理解する上で極めて重要な役割を果たしています。
- 生物多様性: 遺跡が位置するカラクムル生物圏保護区は、ジャガーやバクなどを含む多様な動植物が生息する重要な自然保護区です。
世界遺産登録基準
- (i) 壮大な建築物と精巧な彫刻は、人類の創造的才能を表す傑作である。
- (ii) 他のメソアメリカ文明との文化的交流を通じて発展した顕著な例である。
- (iii) マヤ文明の宗教、社会、政治の中心地として文化的伝統を伝える顕著な例である。
- (iv) 広大なピラミッドと宮殿群は、マヤ文明の卓越した建築技術を代表する例である。
- (ix) 熱帯雨林における生態学的・生物学的進化の過程を示す顕著な例である。
- (x) 多くの固有種や絶滅危惧種が生息しており、生物多様性の保全上重要な地域である。
主要な遺構
| 遺構名 | 特徴 |
|---|---|
| 大ピラミッド(構造物II) | 高さ45mを超える壮大なピラミッドで、マヤの建築の中でも最大級の一つ。 |
| 宮殿・居住区 | 王族や貴族が暮らしたとされる精巧な建築群。 |
| 中央広場 | 儀式や集会が行われた広大な広場で、多くの石碑が立ち並ぶ。 |