概要
「リスボンのジェロニモス修道院とベレンの塔」は、ポルトガルの首都リスボンに位置する世界文化遺産です。15世紀から16世紀にかけてのポルトガルの黄金時代、すなわち大航海時代の栄光を象徴する建造物群であり、マヌエル様式という独創的な建築様式の傑作として知られています。
世界遺産登録基準
- (iii) 大航海時代におけるポルトガルの文化的伝統と、ヴァスコ・ダ・ガマによるインド航路開拓といった歴史的偉業を伝える顕著な物証です。
- (vi) 人類の歴史における重要な出来事、特にヨーロッパと他文化圏との交流の始まりを象徴する場所として、普遍的な価値を持っています。
主な構成資産
ジェロニモス修道院
ヴァスコ・ダ・ガマのインド航路発見を記念して、マヌエル1世の命により1502年に建設が開始されました。マヌエル様式の最高傑作とされ、サンタ・マリア教会や壮麗な回廊には、ロープやサンゴ、異国の動植物などをモチーフにした精緻な彫刻が施されています。ヴァスコ・ダ・ガマの石棺もここに安置されています。
ベレンの塔
1515年から1519年にかけて、テージョ川の河口に建てられた要塞です。リスボン港を守ると同時に、船乗りたちの出発点を見守る監視塔としての役割を果たしました。マヌエル様式の優雅な装飾が施されており、要塞でありながら宮殿のような美しさを持つことから「テージョの貴婦人」とも呼ばれています。
歴史的背景
これらの建造物は、大航海時代にポルトガルがもたらした莫大な富を背景に建設されました。ジェロニモス修道院は航海の成功に感謝を捧げる場として、ベレンの塔は新たな世界へ旅立つ船乗りたちの安全を祈る象徴として、ポルトガルの海洋進出の歴史と密接に結びついています。