ヴィシェグラードのメフメド・パシャ・ソコロヴィッチ橋とは
ボスニア・ヘルツェゴビナ東部の都市ヴィシェグラードで、ドリナ川に架かる壮麗な石造りのアーチ橋です。オスマン帝国最盛期の16世紀後半、大宰相メフメド・パシャ・ソコロヴィッチの命により、当代随一の建築家ミマール・スィナンが設計しました。バルカン半島におけるオスマン建築の最高傑作の一つとされています。
世界遺産登録の概要
2007年に「ヴィシェグラードのメフメド・パシャ・ソコロヴィッチ橋」として世界文化遺産に登録されました。
- 登録基準(ii):文化的な価値観の交流を示す点。イタリアのルネサンス様式の影響を受けたオスマン建築の粋を集めたこの橋は、バルカン半島における技術と芸術の交流を象徴しています。
- 登録基準(iv):特定の建築様式や技術の優れた見本である点。均衡の取れたプロポーションと壮麗な仕上げは、オスマン帝国の土木技術の頂点を示す傑出した例とされています。
建築としての価値と文化的意義
この橋の価値は、11の美しいアーチが織りなす構造的なエレガンスと、時代を超えた普遍的な美しさにあります。橋の中央部分には広いテラス(カピヤ)が設けられており、単なる交通路としてだけでなく、人々が集い交流する町の中心としての役割も担ってきました。さらに、この橋はユーゴスラビア出身のノーベル賞作家イヴォ・アンドリッチの代表作『ドリナの橋』の舞台として世界的に知られています。小説では、この橋が数世紀にわたる地域の歴史の変遷を見守り続ける、物語の中心的な存在として描かれています。
橋の概要
項目 | 詳細 |
---|---|
設計者 | ミマール・スィナン |
建設期間 | 1571年~1577年 |
全長 | 約179.5メートル |
幅 | 約6.3メートル |
アーチの数 | 11 |
構造 | 石造アーチ橋 |
参考文献
「ヴィシェグラードのメフメド・パシャ・ソコロヴィッチ橋」UNESCO. https://whc.unesco.org/ja/list/1260