カラカスの大学都市とは
カラカスの大学都市(Ciudad Universitaria de Caracas)は、ベネズエラの首都カラカスに位置するベネズエラ中央大学のメインキャンパスです。建築家カルロス・ラウル・ビジャヌエバの設計により1940年代から1960年代にかけて建設され、近代建築と芸術が融合した傑作として評価されています。2000年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。
登録基準
- 基準(i): 人類の創造的才能を表す傑作。ビジャヌエバの革新的なデザインと、アレクサンダー・カルダーやフェルナンド・レジェなど著名な芸術家たちの作品が建築と調和した空間は、20世紀の都市計画、建築、芸術の統合における優れた実践例です。
- 基準(iv): ある期間を通じて、またはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。近代建築の理念を体現し、ラテンアメリカの近代化を象徴する建築群として、その後の建築デザインに大きな影響を与えました。
遺産の価値
カラカスの大学都市の価値は、建築、芸術、教育が一体となったユニークな空間を創造した点にあります。
- 建築と芸術の統合: キャンパス全体が「総合芸術」の概念に基づいて設計されており、建物、彫刻、壁画、公共スペースが一体となって機能美と芸術性を両立させています。特に、 Aula Magna(講堂)の音響パネル「雲」は、カルダーによる芸術性と機能性を兼ね備えた作品として有名です。
- 近代建築の実験場: 鉄筋コンクリートやガラスなどの新素材を用い、自然換気や採光を考慮した設計は、熱帯気候に適応した近代建築の優れた例です。オープンな空間設計は、学問の自由と民主的なコミュニケーションを促進する場として意図されました。
概要
地理と歴史
ベネズエラの首都カラカスに位置し、1940年代から1960年代にかけて、建築家カルロス・ラウル・ビジャヌエバの主導で建設されました。当時の近代化政策を背景に、ベネズエラを代表する教育・文化の拠点として計画されました。
主要な建築物
キャンパス内には、中央図書館、講堂(Aula Magna)、オリンピックスタジアムなど、機能ごとに独立しながらも全体として調和の取れた建築物が配置されています。
| 建築物名 | 特徴 |
|---|---|
| 中央図書館 | 広大な蔵書を収容するモダンなデザイン。壁面にはフェルナンド・レジェの壁画が描かれています。 |
| 講堂(Aula Magna) | アレクサンダー・カルダー作の音響パネル「雲」で知られ、優れた音響効果と芸術性を誇ります。 |
| オープンエア・アート | キャンパス内に点在する彫刻や壁画群。学生や訪問者が日常的に芸術に触れられる空間です。 |
カラカスの大学都市は、建築、芸術、教育の理想的な融合を実現した20世紀の傑作であり、その普遍的な価値は今日でも高く評価されています。
参考文献
UNESCO World Heritage Centre. “Ciudad Universitaria de Caracas”. https://whc.unesco.org/en/list/986