概要
チャン・アン複合景観は、ベトナム北部のニンビン省に位置する、「陸のハロン湾」とも称される景勝地です。石灰岩の奇岩がそびえ立ち、その間を縫うように川が流れる水墨画のような風景が広がります。この地域からは先史時代の人類の活動の痕跡も発見されており、壮大な自然と文化的価値が融合した複合遺産として2014年に登録されました。
遺産の価値
- 自然景観: タワー状のカルスト地形と、その麓に広がる水田や川が織りなす景観は、世界的に見ても特に美しいと評価されています。
- 文化史的価値: 洞窟からは3万年以上にわたる人類の居住の痕跡が発見されており、気候変動に適応してきた人類の歴史を物語っています。また、10世紀にベトナム最初の独立王朝の都が置かれた古都ホアルーも含まれます。
登録基準
- (v) 気候変動や環境の変化に対し、人類が伝統的な方法で適応してきた過程を示す顕著な例である。
- (vii) 圧倒的な自然美と美的価値を持つ景観である。
- (viii) 地球の歴史における重要な段階、特にタワーカルストの形成過程を示す顕著な例である。
主な見どころ
| 見どころ | 特徴 |
|---|---|
| タムコック | ボートで川下りをしながら、3つの洞窟をくぐり抜ける人気の観光地。「3つの洞窟」を意味します。 |
| 古都ホアルー | 10世紀に丁朝・前黎朝の都が置かれた場所。皇帝を祀る寺院などが残っています。 |
| バイディン寺 | 東南アジア最大級の規模を誇る仏教寺院。広大な敷地に多くの仏像や建物が点在します。 |
参考文献
UNESCO World Heritage Centre. 「チャン・アン複合景観」. https://whc.unesco.org/ja/list/1438