概要
胡朝の要塞は、ベトナム北中部のタインホア省に位置する、14世紀末に築かれた要塞です。短命に終わった胡朝の首都であり、巨大な石灰岩のブロックを用いて建設されたその技術は、当時の東アジア・東南アジアにおいて新しい建築様式の証左とされています。2011年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。
遺産の価値
- 建築技術: 風水の原則に基づいて設計され、巨大な石材を用いた堅固な城壁は、当時のベトナムにおける建築技術の高さを示しています。
- 歴史的意義: 中国の影響を受けつつも独自の発展を遂げた儒教思想に基づく国家建設の試みを象徴する遺産です。
登録基準
- (ii) 東アジア・東南アジアの他地域から伝わった技術が、現地の状況や地政学的文脈の中で創造的に取り入れられ、独自の建築様式として発展したことを示している。
- (iv) 巨大な石材を用いた城壁の建設技術において、王権の新しい概念を象徴する建築様式の顕著な見本である。
主な見どころ
| 遺跡名 | 特徴 |
|---|---|
| 南門 | 3つのアーチを持つ壮大な門で、要塞の主要な入口です。巨大な石のブロックが精密に組まれています。 |
| 城壁 | 平均5メートルの高さを持つ石灰岩の城壁が、ほぼ完全な形で残っています。 |
| ナム・ジャオ壇跡 | 王が天を祀る儀式を行ったとされる祭壇の遺跡です。 |
参考文献
UNESCO World Heritage Centre. 「ホー王朝の城塞」. https://whc.unesco.org/ja/list/1358