ロロペニの遺跡群とは
ブルキナファソ南部、コートジボワールとガーナの国境近くに広がる「ロロペニの遺跡群」は、高さ6メートルにも及ぶ石壁に囲まれた広大な謎の遺跡です。この地域はかつてサハラ砂漠を横断する金交易の重要な経路上にあり、遺跡はその繁栄を今に伝えています。西アフリカに現存する同種の遺跡の中で最も保存状態が良く、その歴史的価値から2009年にブルキナファソ初の世界文化遺産に登録されました。
謎に包まれた石の城壁
この遺跡の最大の特徴は、誰が、いつ、何のために建設したのか、多くの点が未だ解明されていないことです。11世紀から19世紀にかけての長期間にわたって利用されたと考えられていますが、文字による記録が残っておらず、その起源は謎に包まれています。金の交易に関わったロビ人やガン人の祖先が築いたという説や、奴隷交易の拠点であったという説など、様々な仮説が立てられていますが、決定的な証拠は見つかっていません。
世界遺産登録基準
- 登録基準(iii):サハラ越えの金交易によって繁栄した、今では消滅した文化の顕著な証拠として評価されました。その規模と保存状態の良さは、西アフリカの交易ネットワークの豊かさを物語っています。
西アフリカ交易の歴史を物語る
ロロペニの遺跡群は、かつてこの地域がヨーロッパや北アフリカを結ぶ広大な交易網の一部であったことを示す貴重な物証です。石壁に囲まれた構造は、外部からの侵入を防ぐための防御施設であった可能性を示唆しており、富が集中する交易拠点の緊張感に満ちた社会状況をうかがわせます。この遺跡の研究は、西アフリカ史の空白を埋める上で重要な鍵を握っています。