概要
ポン・デュ・ガールは、フランス南部、ガルドン川に架かる古代ローマ時代の水道橋です。紀元前1世紀、約50km離れた水源から都市ニームへ水を供給するために建設されました。全長275m、高さ49mに達する3層のアーチ構造を持つ壮大なスケールと、卓越した建設技術、そして景観との調和が高く評価され、1985年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。
世界遺産としての価値
この遺産は、以下の登録基準を満たしていると評価されています。
- 登録基準(i): 人類の創造的才能を表現する傑作。最小限の資材で最大の機能性と美しさを実現した、ローマの土木技術の最高傑作とされています。
- 登録基準(iii): 現存しない文明の文化的伝統に関する類いまれな証拠。古代ローマの高度な水利技術と都市計画を具体的に示しています。
- 登録基準(iv): ある時代を代表する優れた建築様式や技術の発展を示す例証。精緻なアーチ構造は、建築史における重要な進歩を物語っています。
建築と技術
ポン・デュ・ガールは、緻密な計算に基づいて設計されています。3層構造になっており、下層と中層のアーチが橋全体の構造を支え、最上層に設けられた水路で水を運びました。巨大な石材を正確に積み上げるために、高度な測量技術や機械が用いられたと考えられています。全体の勾配がごくわずか(1kmあたり約25cm)に抑えられており、これにより効率的な水の流れが実現されていました。