グリーンランドのグヤダーとは
グヤダーは、グリーンランド南部の氷冠縁辺部に広がる農業景観で、2017年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。この地域は、10世紀以降に移住した古代スカンジナビア人(ノース人)と、その後定住したイヌイットという二つの文化が、極北の厳しい環境下で農業と狩猟を営んできた歴史を物語っています。
遺産の価値
この遺産の価値は、異なる文化が厳しい自然環境に適応し、持続可能な土地利用を発展させてきたユニークな文化的景観にあります。
- 農業と狩猟の融合: ノース人の家畜飼育や農耕といった農業技術と、イヌイットの伝統的な海洋哺乳類の狩猟文化が共存・融合し、独自の生活様式が築かれました。
- 文化的交流: グヤダーは、スカンジナビア人とイヌイットの長きにわたる交流と協力の証であり、その文化的融合は現在も地域の牧畜社会に受け継がれています。
登録基準
この世界遺産は、以下の基準を満たしたと見なされ、登録に至りました。
- (v) ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落や土地利用、海上利用の顕著な見本。または、取り返しのつかない変化の影響下にあり、劣化した人類と環境との交流の顕著な見本。
概要
グヤダーには、ノース人時代の農場跡、教会、放牧地などの遺跡が点在しています。これらの景観は、北欧とイヌイットの文化が融合した結果を示しており、現在もこの地域では伝統的な羊の放牧などが行われています。
特徴 | 詳細 |
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農業と狩猟の融合 | 北欧の農業技術とイヌイットの狩猟文化の共存 |
文化的交流 | スカンジナビア人とイヌイットの交流と協力 |
参考文献
「Kujataa Greenland: Norse and Inuit Farming at the Edge of the Ice Cap」. UNESCO World Heritage Centre. https://whc.unesco.org/ja/list/1536